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入試英語と受験英語と英語

ときどき「受験に出る」という言い方をすることがあります。「受験」というのは漢文法式の「動詞+目的語」の語順で成り立っている熟語です。すなわち「試ける(こと)」という意味を表します。そして、多くの場合、「受験」とは「入試」すなわち「入学試験」を受けることを指します。そうすると、「受験に出る」という言い方は奇妙な感じがします。

鍋が美味しい季節になりました。お昼に時間がないときでも丼ならさっと食べられますよね。ところで皆さんは鍋を食べたことがありますか?丼を食べたことがありますか?実際に食べているのは鍋や丼そのものではなく、それらの中には入っている食べ物です。「私、自宅が三田線なんですけどぉ」といっている人も電車の中に住んでいるわけではありません。沿線に住んでいるのです。これは比喩の一種で、近くにあるものを表す語で言い換える「換喩」という現象です。つまり、「受験に出る」の「受験」も「入試」を指しているわけです。

あいまいさを回避するときには言葉の使い方を厳密にしていきます。「入試英語」というのは、入試に出る英語で、英語そのものや出題形式などを指します。一方の「受験英語」というのは、換喩によって入試英語を指すこともありますが、それよりも受験勉強で学ぶ英語やその学習法を指すことも多いようです。これで「入試英語」と「受験英語」の一応の区別ができます。

これでこことつながります。

どのような問題が出るかということと、そのためにどのような勉強をすべきかというのは分けて考えるべきです。後者は受験生、すなわち学習者の状況によって変わってきます。そして個人によって多様であるのと同時に、出題傾向の変化に関係なく学ぶべき普遍的な知識や技能もあります。英語である程度のレベルでの読み書きができるようにしておくこと、そのために必要な知識として文法や語彙を学ぶことは、方法に個人差はあるにせよ、学習内容としては普遍的とも言えます。これは書記言語としての英語が入試で出題され続けているということと、受験が目的かどうかに関係なく日本語を母語とする人が英語を外国語として学ぶということが背景にあります。受験英語も英語学習である以上、「入試英語」が変わっているように見えても「受験英語」の核心部分はそれほど変わっていないということです

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