発音の話
今日はことばの音声面、とりわけ英語の発音についてのお話しです。まず、大学入試などで出題される発音問題ですが、これは綴り字と読み方の対応を問うものであって、受験者の実際の発音を問うものではありません。ただし、そこから受験生がそうした対応関係や英語で区別しなければならない音の存在に気づいてくれれば、それはそれでよいのではないかとも思います。
話は発音そのもののに移します。一般に英語の発音は年齢が低いほど身につけやすいと言われます。これは自分で話すときの調音と聞くときの音声認識の両方からみてそう言われているわけですが、これは言語の他の領域と比べて、音声は分析的に学ぶのが難しいとされているからです。逆に言えば、分析的に、意識的に学ぶことができれば、大人になってからでも英語の発音を身につけることは可能であると考えることもできるわけです。実際のところ、口頭でのコミュニケーションに支障がなく、かつ聞いていて流暢だと感じられる程度には身につきと思います。世間で言う「実践的な英語力」という観点からいえば、これで十分でしょう。
まずは英語に必要な発音の調音法を学ぶべきです。ただし、自分の調音による発音の違いは骨伝導により把握することになりますから、他人の発音を識別するのとは少し聞こえ方が違います。このため、他人の発音を聞き分ける訓練も必要になります。最近は音響音声学の知見に基づく学習プログラムをCD-ROMつき書籍などで学ぶことができるようになっています。これらを日本語との違いに注意しながら学んでいきます。例えば、「she-椎-sea」はそれぞれ語頭の子音が違いますが、これを調音でも認識でも区別できるようにしていくわけです。
ここまでの話は語レベルでの発音についてのものです。発音を学ぶときに陥りがちなのは、語レベルの発音にこだわりすぎることです。句レベル、文レベルの発音、さらにはリズムやイントネーションへと意識を広げていくことが大切です。句レベル、文レベルではアクセントの置かれ方に着目し、文構造に基づいた発音の強弱を意識する必要があります。また弱くなったときの発音(弱形)の練習も必要です。さらに、弱形が生じる時に前後の音の同化が生じることがあります。check it outが「チェケラ」と聞こえるのは、kとi、tとouが同化しているからであり、特に語中のtは日本語の「らりるれろ」の子音(若い人は「ら」の発音が少し違う場合があります)に似た音になります。
持田のnoteでは文法学習の中に「声出し」を組み込むことを提案していますが、「声出し」の前段階としてここに挙げたところまでの音声学習が少なくとも必要です。一般には中学校までに学んでいることが多いですが、高校生以上で自信がない人は一度腰を据えて学ぶことをお勧めします。
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