「英文理解」ということ
なぜか、奇異・・・
文法能力開発では、これまでに「英文理解」を扱うレファレンスを2点リリースしています。まずは、2022年のこちらです。
これは1996年にまとめた教材が元になっており、当時も「英文理解」という言葉を使用しておりました。つまり、持田の中では四半世紀以上、30年近く「英文理解」という言葉を普通に用いてきたわけです。
そして、昨日リリースしたこちらです。
ただし、この「英文理解」という言葉は、大学受験においても一般の英語学習においてもあまり一般的ではないようで、いささか奇異に聞こえるかもしれません。
「英文解釈」と「英文理解」
大学受験の世界では「英文解釈」という言い方が一般的です。そして、「英文解釈」に用いる言語知識を「英語構文」と呼びます。これが習わしです。ただ、私の見立てでは、「解釈」というのは「理解」の上位互換であるように思っています。文字通りの「理解」を経て、その上で「解釈」の可能性が拓けてくると考えているわけです。この見立てでいけば、大学受験生がまず身につけるべきは「英文理解」のスキルだと思うのです。受験勉強を始めたばかりの受験生がみても、「英文解釈」は超難関大を目指す人だけが取り組むべき高尚なものに映るようです。文法に基づく精読は基礎固めの中心となるはずですが、「解釈」という言葉が孕む高踏性がそれを妨げているのであれば、その高踏性は除去しよう、と思ったわけです。
同様に「構文」という言葉も伝わりにくいのかな、と思ってきました。これに代わる用語として「読解文法」という言い方もあります。持田も実際、この言い方を用いることがあります。
ただ、そうなると、「英文理解」なのか「英文読解」なのか、という問題が新たに浮上します。「英文読解」となると、「文理解」だけでなく「文章理解」も射程に入ります。「文理解」すなわち英語の文を単位とした理解に焦点を当てて学ぶという活動を考えた場合、「英文理解」という言い方のほうが適切なのではないか、と考えたのが1990年代半ばの持田の判断でした。そして「『読解』文法」という言い方を正面から使うことを避けてタイトルに掲げたのが「基礎知識」だった、ということです。こうして『英文理解のための基礎知識』や『英文理解の基礎知識』というタイトルが生まれたわけです。