受験英語:対策とは何か
今回は受験英語の思い込みのお話です。この話は角度を変えて何度か述べていますが、予備校が前期授業から夏期講習へと向かう時期で、高校も3学期制の場合は期末試験から夏休みへと向かう時期なので、確認の意味も込めて触れたいと思います。
単純な図式、「受験英語=読解問題+文法問題」「読解問題=読解問題集+単語帳」「文法問題=文法問題集」が受験英語のイメージとして依然根強いようです。確かに最近では英作文やリスニングの問題が増えてきていますが、読解問題と文法(語法)問題という組み合わせの出題を続けている大学はたくさんあります。しかし、わざわざ塾や予備校に通って一般入試での受験を目指す人たちの第一志望校の多くは英作文の出題もあります。それでも合格最低点を考慮すれば英作文対策は不要と考える人もいるようです。
解くべき問題を繰り返し解いて解けるようになることが受験勉強だと思い込んでいる人も多いようです。しかし、英作文の対策をしている人のほうが英語の文章を速く正確に読めるようになります。英文法の問題を素早く正確に処理できるのも英作文の対策をしている人です。英作文を射程に入れた文法学習と文法問題対策までを射程とする文法学習とでは、その深さがまったく違うからです。そして「繰り返しているうちにそのうちできるようになるだろう」という考えで取り組んでいる文法問題集は最も成果の少ない、皮相的な文法学習に堕してしまうのです。文法問題集は、どうしても取り組みたいのであれば、その後の学習のための準備を行う手段として取り組むべきです。
日英語の比較対照による、考え理解しながら知識の定着を図る文法学習、やさしい文章による文章構造の把握から始めて身につけた文法知識を駆使した精読に至る読解学習、日本語の作文でプロセスライティングを学び英語の文文法の知識が身についたところでその知識を使っていく作文学習。受験英語はこうした全体像を持つものです。4技能入試が一般的になってもこれに音声面の学習が強化されるだけで大枠に違いはありません。