技能の要としての「書く」こと
少し前から最近4技能の統合ということがよく言われています。「4技能」とは「話す・聞く・読む・書く」を指します。PISAや全国学力学習状況調査などではこの4つ技能のほかに「見る」ことも問われています。このあたりの潮流は共通テストにも反映されています。「見る」技能と対になるのは「見せる」技能ということになります。別の観点からは4技能に「考える」という技能も合わせて5技能とすべきだという議論もあります。
言語学習をひとつのプロセスとして見た場合、これらの中で中心となるのが「書く」技能です。内容のある文章を書くには、文章の内容や展開を「考える」必要があります。発した瞬間に消えて行く話しことばと違って、書きことばは文字で残りますから、そのぶん正確に記述していくことが求められます。文法力が最も問われるのも、この「書く」という行為なのです。
これは外国語の学習に限ったことではありません。母語の場合も同様です。私たちが「母語」として無意識に身につけるのは、日常会話程度の音声言語です。書記言語というのは、単純なメモ書き程度のものであっても文字を身につけなければ書けませんし、より高度な文章表現ということになると、さらなる訓練が必要となります。
大学受験では、英作文が出題されていますし、英語以外の教科では日本語で論述する問題が出題されています。英検などの英語の外部試験にもライティングの問題があります。こうしたことから、高校の早い段階から日英語両方の文章表現力を高めていくことは大学受験で有利になりますし、大学入学後にはこれが学習能力・研究能力の基盤にもなっていきます。高等教育機関では学習や研究の成果は自分のことばで語る必要があるからです。
短い和作文のすすめ
ここまでお話ししてきた技術を身につけるには、まず100~250字程度の日本語の作文を書くことから始めることをお勧めします。国語表現の授業でも原稿用紙1枚に満たない作文の経験値は、教わってきた国語の先生の方針によって大きく差が付くところです。しかしながら、やってきていないのだから仕方がない、では済まされません。大学入試を経て高等教育を受け、社会で生きていくという高度な言語生活の要となるのは、この「書く」という行為です。この「書く」という技術を、大学進学前にしっかりと身につけていけるかどうかは極めて重要なことであると言えます。
言語教師の持田は、このような和作文も含めた総合的な学習支援ができます。興味のある方はぜひお問い合わせください。
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