過去問演習のこと
試験のための学習であれば、ある程度は避けて通れないのが過去問演習。大学受験の場合は、翌年2月の入試に向けて勉強を進めていくわけですが、この場合に過去問演習はいつごろやればよいのかということが問題になります。
本番を想定した演習であれば直前期で十分です。現役高校生など、志望校の入試問題を解いたことがない人の場合は、早い段階で一度解いて、入試で要求されるレベルと自分のレベルとの隔たりを把握することをお勧めします。
志望校に限らず、教材化された過去問に取り組むのはあらゆる段階において有効な学習です。これは志望校に限らず、志望校合格に必要な学力を養成するために過去問を効果的に配列された教材に取り組むことを意味します。予備校の教材はこうして作られていますし、文法能力開発の『英文理解の実践Ⅰ・Ⅱ』も同様です。
もちろん、受験勉強は過去問を使用した教材でなくてもできます。入試問題から離れると不安になる受験生もいますが、盤石な基礎を固めていく段階では入試問題に縛られない学習が功を奏すことは普通にあることです。学校の授業がリアルな言語活動を志向する現在においては、記号で答える入試問題の演習よりも、ゴリゴリ書いていくドリルを集中的に行うほうがむしろ有益です。
こうしてみると、多くの受験生にとって本番を想定した過去問演習を6月上旬に始めるのはあまり意味のないことであると言えます。過去問を解いてうまく解けなかったときに解けない要因を経験不足に求めるようなことがあれば、過去問演習はむしろ逆効果にすらなりえます。多くの受験生にとって入試問題が解けないのは問題への慣れが足りないからではなく、基礎が身についていないからです。
このnoteでは繰り返しになりますが、基礎が身についていないことに気づかない受験生は案外多いのです。