余命14日間の彼女と、青信号を渡れないボク *11話*
#創作大賞2023
11話
思わず叫んだ彼女の名前が冷たい空気をボッと燃やして、周りの人々を息苦しくさせた。ストレッチャーの傍で、銀色の点滴をぶら下げるポールを走らせていた若い看護師が険しい形相のまま顔をこちらへと向けると、「あの、患者様のお知り合いですか?」と、訝しげに尋ねた。その声の渇き具合に心臓が押しつぶされる。
何を言えばいいのかなど準備しているはずもなくただ、酸素の薄まった頭の中から必死で言葉を取り出そうと口を動かした。
「え……ええ。いや、あの知り合い