
Photo by
ruincoda
人類総「馬頭観音」時代
本人に許可をもらったので書きますけれども、友人がこう言うわけです。人には誰かに来て欲しくない時があると。しかし、それをハッキリと意思表示すれば角が立ってしまう。下手すれば差別主義者みたいな扱いをされかねない。
そんな時はどうすればいいのか。友人は私に尋ねました。正攻法から奇策までいろいろあげてみましたが、友人は首を横に振るばかり。じゃあ、どうすればいいのかと私は尋ねました。
「馬頭観音お断りって言えばいいに決まってるじゃん」
決まってるじゃんと言われても、奇策すぎて話についていけません。
「どういうこと?」
「例えば、『馬頭観音お断り』と書かれた張り紙をドアに貼ればどうなる?」
「この家の住民はヤバいやつだと思って誰も来なくなるよ」
「そこだよ。本来『〇〇お断り』って書くと、該当する人は傷つくだろ。馬頭観音を断っておけば誰も傷つけずに来訪者を断れる」
そんな奇策で納得するなんて思いませんでした。感心する私を見て友人は「いい断り方だろう。徳の高い断り方だろう」と、意味不明な自画自賛をしていました。しかし、です。
「『馬頭観音お断り』で誰も来なくなったとすると、本当はみんな馬頭観音だったのか?」
何を言ってるんだこいつは、なんて無粋なことは言わず、私は自らの奇策に溺れる友人を見て楽しむことにしました。