AIの暴走は誤解から生まれるのか
博物館が好きで、いろんなところをちょこちょこ訪れてきました。そこで分かるんですが、一言で博物館といっても、いろんな博物館があるんです。地元で発掘された埴輪がひたすら並んでいるところもあれば、煙草に関するものばかりのところ、切手オンリーという尖った博物館もございます。規模もまちまちで、全てを見るのに1日ではとても足りないビックなところから、小屋にしか見えないミニマムなところまでございます。
博物館で展示されているものの中には、フラッシュなどの光が劣化に繋がったり、権利上の問題があったりして、写真撮影が禁止されているものも当然ながらございます。一方で、レプリカであることなどを理由に、写真をバンバン撮っていいものも、もちろんある。今や、スマートフォンにカメラなんて当たり前でございますから、皆さん一人ひとりがカメラマンです。事実、撮影可能なものばかり揃っている博物館では、皆さんスマートフォン片手にカシャカシャやっている。
撮っている人の中には、勉強が目的の方も当然いらっしゃるでしょう。一方で、何となくいろんなものをパシャパシャ撮っている方もいらっしゃるはずです。少なくとも私は後者で、展示を充分に堪能して家に帰り、画像を確認すると、何で撮ったのかサッパリ分からない画像の数々がズラッと並んでいるわけです。
ちなみに、私はGoogleフォトで画像をチェックしています。Googleフォトをお使いの方はご存じでしょうけれども、Googleフォトは過去に撮った画像を「こんな思い出もありましたね」みたいな感じで持ち主に見せてくるんです。ちょうど1年前に撮った画像とか、3年前に撮った画像とか。海とか森とかテーマに沿って過去の画像をかき集め、スライドショーにして見せてくることもあります。
そんなある日のことです。Googleフォトがまたいつものように「この日を覚えていますか」というメッセージつきで過去の画像を見せてきたんです。しかし、見せてくる画像がボロボロのしゃれこうべばかりで声をあげそうになりました。眼窩が黒く窪み、中途半端に残った歯がむき出しの半開きな口。そんなドクロばかり見せられては「この日を覚えていますか」のメッセージも違った風に読めてしまいます。「私、Googleフォトに恨みを買うようなことしましたか」とうろたえずにはいられません。
呪い100%スライドショーになった理由はすぐ分かりました。ちょうど3年前、博物館に行ってスマホでパシャパシャしてたんです。その博物館はそばで見つかった縄文人の骨のレプリカが展示されておりまして、「おー、骨だ骨だ」なんて小学生みたいな感想を漏らしながら撮りまくり、スッカリ忘れていたんです。それが3年も経ってから、Googleフォトに掘り起こされ、結果的に縄文人の恨みを代弁するかのようなスライドショーが出来上がってしまった。
最近はChatGPTなどAIの高性能化が著しく、SFでしばしば出てくる「AIの暴走」みたいな災害が現実になってしまうのではないか、みたいな不安がチラホラ出ては消えてを繰り返している印象です。AIが暴走するのかどうか、AI素人の私にはよく分かりませんけれども、AIが機械的に過去の画像をスライドショーにした結果、頭蓋骨オンリーの亡霊スペシャルを私にお見舞いしてきたように、AIの天然によって「やっぱりAIが暴走した!」と慌てふためくウッカリさんが出てくるんじゃないかとは思いました。
実際に私が慌てふためいたんで、たぶん間違いないです。
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