送迎バスに翻弄される
街中を走る自動車に、意外と送迎バスが多いんです。学生を送り迎えする学校のバス、近くの自動車教習所が運営しているマイクロバス、商業施設と駅を繋ぐシャトルバスなどが普通に走っている。
ある時、私がジョギングをしていますと、一台のバスが追い抜いていきました。ボディにはスクールゾーンの標識が描かれていたため、学校の送迎バスだと分かりました。中には子供が何人も乗っており、恐らく生徒を送り迎えしている最中なのでしょう。
そのスクールバスのボディには「ひよどり1号」みたいな名前が書かれていました。送迎バスに名前が付けられ、しかもそれがボディに描かれているのを初めて見た私、ついついその送迎バスを目で追ってしまいました。
その直後、もう1台のバスが私を追い抜いてゆきました。そのバスには「ひよどり2号」と書かれていました。同じ学校のバスだとすぐに分かります。こちらのバスも1号と同様に、子供が乗っておりまして、送迎バスとしての任務を果たしている最中のようです。
更にもう1台のバスが来ました。当然、ひよどり3号かと思ったんですが、ボディに書かれていたのは「ひよどり4号」でございました。いきなりフェイントをかけてきたんです。
更にすぐあとにバスがやってきました。今度こそ3号だと思ったんです。きっと何らかの理由で4号と3号の順番が入れ替わっただけなんでしょう。そもそも、号数通りに並んで走らなければいけないなんて決まりはありません。1243の順番で走ってもいいはずです。そんなことを考えながらバスを見たんですが、スクールゾーンのマークはあるのに何号とも書かれていないんです。ひよどりの文字もない。何でこう他人の些細な予想を上回ろうとするんでしょうか、この学校は。お陰で転びそうになりました。
それからもダラダラとジョギングを続けました私、いよいよこの角を曲がれば自宅というところまでやってきたんです。その時、角を曲がってくるバスがございました。そのバスのボディにはしっかりと「ひよどり3号」と書かれていたんです。
「こんなところにいたのか、3号」と私は思わず呟いてしまいました。バスのことなどスッカリ忘れた頃にこの不意打ちです。もう徹底して他人の些細な予測を裏切るような走行をすると決めたんですね、この学校は。
それから更に数日後、たまたまその学校のそばを通ったんです。そしたら、「ひよどり5号」と書かれたバスもございました。追撃の手を緩める気配がありません。この学校は送迎バスを何台持ってるんでしょうか。
送迎バスに翻弄される日々を送っております。