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ここにきて親父不足

 「地震雷火事親父」なんて言葉がありますね。軽く検索したところ、いつ生まれた言葉なのかは不明のようですが、最古の記録は1831年に書かれた「尾張童遊集」だとの情報がチラホラ出てきました。

 つまり、ここ200年くらいは日本のどこかで言われ続けた言葉のようです。ちなみに、上記サイトによりますと、「地震雷火事親父」は怖いものを並べた言葉ではございますけれども、「ラストの「親父」で意外性を出した」みたいな記述がございます。言い換えれば、「親父」でオチをつけたのでしょう。語感の良さに加えてオチがついているからこそ、「地震雷火事親父」は200年近くも人々の間で広く使われているのでしょう。

 ところで私、「地震雷火事親父」を見ると、いつもひとつの疑問が湧いてきます。怖いものを並べたとされるこの言葉でございますけれども、4つ全て起きることはあるのでしょうか。

 親父はともかく、地震も雷も火事も、起きる割合はそこまで高くありません。「何言ってんだ、毎年そこらじゅうで起きてるじゃないか」と反論しそうになりますが、よくよく考えると、地面は揺れてる時よりもそうでない期間の方が圧倒的に多いですし、雷が昼も夜も日常的にバンバン落ちて来る地域は極めて珍しい。あなたの街だって火事の通報こそチラホラあるかもしれませんが、街全域が常に火の海なんて状況ではないと思います。つまり、災害は起きてない割合の方が圧倒的に高い。

 ひとつの災害でもそれだけ低いのに、ふたつがセットとなると非常に珍しい現象でしょう。もちろん、地震や雷が火事を引き起こす場合はございますけれども、地震や雷が起きれば常に火事が起きるかと言うとそうでもない。地震と雷がセットで起こるなんてレア中のレアです。

 当然ながら、低確率でも起きる時は起きます。その昔、台風が真上にいる最中、地震に遭遇いたしました。どちらもそこまで強烈じゃなかったのは不幸中の幸いですけれども、外は大雨大風、更に雷バチバチな状況のため、家で不安になっていたところへ震度3を食らいまして「もう勘弁してくれ」という気分にはなりました。とは言え、私が2冠達成したのはその1度だけでございましたし、火事どころかボヤさえ遭遇しなかった。4つコンプリートするのは相当な低確率に間違いありません。

 もちろん、起きないに越したことはありません。ただ、全部揃った瞬間に出くわすと、私は命の危険を感じて恐れおののきながらも「おっ」と思ってしまいそうなんです。目の前で火事が起きていて、辺りはそこらじゅうで落雷しまくってる。そこへ大地が激しく揺れ始め、隣には親父がいる。「勘弁してくれ」と嘆きつつも、頭の隅で「地震雷火事親父ビンゴ達成してるじゃないか」と思ってしまうかもしれない。

 でも、大体こういう時に限って隣に親父がいなかったりするんです。世に親父はこんなにも溢れているのに。やっぱり変な期待なんてせず、ひとつでも災害の気配を感じたら落ち着いて対策を取るがベストだと改めて思いました。

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