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屋内測位は、どの手法がベストなのか?
はじめに
屋内測位の手法について、詳しく知りたいという人も多いですよね。本記事では、屋内測位の手法に関する基本的な知識を解説します。まずは、屋内測位の目的や必要性について説明します。その後、代表的な屋内測位の手法や技術について紹介します。屋内測位に興味があるエンジニアや研究者、さらに導入を検討いただいている方は必見の記事です。屋内測位の手法についての正確な情報をまとめたい方にもおすすめです。
地図と測位とデータを取る目的
スマホ地図・カーナビとスマホのGNSS測位
屋内測位手法の前に、地図データのと測位データとの関係を整理しておきたいと思います。近年、自己位置を測定し、マップ上に表示できるサービスが増えてきました。一般的なカーナビ、インターネットの地図は、2万5千分の1をベースに作成されています。この2万5千分の1という地図は、地図上で1mmがリアル世界では25mです。スマホなどで利用されている一般的なGNSSの±10mを利用してもさほど問題なく利用できてきました。
GNSSでもcm級に測位できる方法がある
一方で、ドローン自動航行・トラクター自動運転で実用化されているRTK-GNSSの技術を利用すれば、cm級の精度が安価に提供できるようになっています。もちろん、GNSS衛星の電波受信環境が十分にあることが条件となりますが、これらの環境では、高精度な地図を利用して、移動先地点を正確に示してあげる必要があり、地図生成システムとセットで利用することが一般的です。
GNSSが利用できない環境ではどうなる?
GNSSの電波受信環境が悪い屋内では、測位に利用する技術によって、どのような基地局やインフラを整備すればよいか?が異なります。
地図は建物図面などを活用して地図を生成することは可能ですので、そのうえで地図精度に合わせた測位手法を選択することが重要です。先程の例でいうと、カーナビ上の地図の上で、cmレベルの測位を大きな投資をして実施することはあまり意味がないことがわかるかと思います。詳しい手法の種類は後ほど述べます。
何のために測位するのか?
最も重要なのは、何のために位置を取得するか?という点です。
当然のことながら、目的に応じてデータの取得の要件が変わります。
私がいつも以下4つをどうしますか?というのをお話しします。
①測位精度
②データ頻度
③データ鮮度
④付加属性
たとえば、「トラックで東京から大阪へ移動する間のドライバーさんがどこで休憩したかをを把握したい」ということが目的であれば、
①測位精度 100m精度
②データ頻度 5分間隔
③データ鮮度 走行終了後
④付加属性 エンジンOFF/ON
の情報があれば十分です。
屋内測位でも同じです。ただし、①②③④の要求がハイレベルなほど、コストに跳ね返ってくることに注意が必要です。
屋内測位の手法について
「目をつぶって5感を最大限に生かして自分の場所をイメージしてください。」と言われた時、皆さんはどうやって自分の位置を把握できますか?
手法と呼んでいるのは、五感のうち何を使うか?というのと同じです。 近年、IoTセンサー、画像認識技術が急激に進化しているため、人間の五感以上の感性を利用できる技術が多くでています。 代表的なものをお話しします。
★電波式
電波式は電波強度、位相、進入方向を使って、3点測量をする方法です。選択する機器によって規格が異なり、測定範囲や距離が異なります。
例)
Wi-Fi
UWB
BLE(ビーコン)
※ 近年では、AoA,AoDを活用して精度を上げる製品や、
デバイス同士の電波強度の関係を数式で解いて、
デバイス同士の位置関係から位置測位をする製品もあります。
メリット ) 汎用品を活用できるため、基地局数を打てる
真っ暗な空間でも測位できる。
デメリット) 電源工事/電池交換のコストが大きく、短期間の利用に向
かない。
電波が目に見えないため、間違っていても判断がつきに
くい。
電波を遮断したり反射する壁等に弱い。
★IMU,PDR
IMU,PDRは、加速度センサーを利用して、慣性によって位置を測位する方法です。絶対位置は測定できないため、電波式等と併用して精度を上げることが可能です。
メリット ) 基地局などインフラを必要としない。
真っ暗な空間でも測位できる。
デメリット) 移動時の振動や端末操作による振動に弱い。
★画像認識式
画像認識式はSLAMとも呼ばれ、AGVやARの領域でも多く利用されている技術です。 人間でいうと、目で見て景色が変化するのを把握して測位をする方法です。近年では、事前サーベイ不要な相対位置測位が可能なタイプがあり、以前のように事前サーベイ無しですぐに試せるものがあります。
メリット ) 基地局などインフラを必要としない。
事前サーベイの工数が少ない。
デメリット) 振動を抑制装置が必要である。
カメラの起動が必要である。
★地磁気式
地球磁場と建物形状が生み出す、磁場強度を測定し、
この磁場強度の変化を計測することで、測位をするものです。
地球磁場は非常に弱いものですので、電波式と併用して精度を上げることが可能です。
メリット ) 基地局などインフラを必要としない。
デメリット) レイアウト変更の度に、事前サーベイの工数が大きい。
屋内測位で気になる点
屋内測位におけるZ方向とは?
いろんなサイトを調べてみても、あまり触れられていないのですが、意外と難しいのがZ方向です。GNSSの場合は、NMEAにX,Y,Zのフィールドがあるので、これを利用できると考えた方も多いかもしれませんが、Zってそもそもどこからの高さなのか?というと、ジオイド面から距離になりますので、海抜0mからの距離ではありません。相対位置を計算するのであれば利用できます。
最近では、地面から離れるにしたがって、気圧が下がる原理を利用して、気圧計を活用するケースも多く出てきています。
ただ、建物の中の場合はどうかというと、地面から10mの地点は、2階なのか3階なのか?という議論を解決しないといけなくなります。
屋内測位の利用シーンから考えて、一般的にはフロア特定のために、
入口、出口に電波式or紙式Arcoマーカーを配置し、マーカーをトリガーにして、フロア認識するのが一般的な方法になります。
最後に
と、いろいろ並べてみましたが、本当にいろんな製品があります。
測位サービスを提供しているのベンダーは、
ハードウェアメーカーか特定ソフトウェア代理店であることが多くなってきています。その製品には非常に詳しいのが最大のメリットです。
最も重要なのは、冒頭にお話しした通り、目的に応じた手法の選定です。
取得データをどう利用したいか?という観点で、1つの技術にこだわることなく、ニーズに合った手法の選択をお勧めします。