ボビー・ホートン Riding A Raid 和訳
今回もHomespun Songs of the C.S.A volume.1から。
ストーンウォール・ジャクソン、やっぱりイケおじすぎる(「イケおじ」というが、1862年時点で38歳!)。
歌詞はこちらを参考にしました。
'Tis old Stonewall, the Rebel, that leans on the sword,
サーベルに寄りかかっているのは、老いた反逆兵ストーンウォール・ジャクソン
And while we are mounting, prays low to the Lord:
俺たちが攻撃を仕掛けようとしているかたわらで、神に深く祈る
"Now each cavalier that loves Honor and Right,
「さあ、誇りと正義を愛する騎士のみなさまよ、(祈りましょう)
Let him follow the feather of Stuart tonight."
今夜、羽帽子のJ.E.B.スチュアートが神のご加護を受けますように」
Come tighten your girth and slacken your rein;
さあ、馬の腹帯を締めて、手綱を緩めようじゃあないか
Come buckle your blanket and holster again;
毛布とピストルケースを留め直せ
Try the click of your trigger and balance your blade,
引き金を引いてみろ 刀身のバランスを調整しろ
For he must ride sure that goes Riding a Raid!
なんたって、ストーンウォールは奇襲に乗り込むために、馬に乗るに違いないからな
Now gallop, now gallop, to swim or to ford!
さあ泳ぐでも走るでも、前へ前へ駆けていけ
Old Stonewall, still watching, prays low to the Lord:
老いたストーンウォールは、兵士の様子をまだ見つめながら、神に深く祈る
"Good-bye dear old Rebel! The river's not wide,
(※)「じゃあな、愛しき年老いた反逆兵よ!この川は広くない
And Maryland's lights in her window to guide."
それに、メリーランドの光が窓に灯り、案内してくれる」
Come tighten your girth and slacken your rein;
さあ、馬の腹帯を締めて、手綱を緩めようじゃあないか
Come buckle your blanket and holster again;
毛布とピストルケースを留め直せ
Try the click of your trigger and balance your blade,
引き金を引いてみろ 刀身のバランスを調整しろ
For he must ride sure that goes Riding a Raid!
なんたって、ストーンウォールは奇襲に乗り込むために、馬に乗るに違いないからな
There's a man in a white house with blood on his mouth!
ホワイトハウスには、血生臭いことを言う輩がいる!
If there's Knaves in the North, there are braves in the South.
北部にナイフがあるというのであれば、南部には気概があるじゃないか
We are three thousand horses, and not one afraid;
俺たちは三千の馬で、みんな恐れ知らずだ
We are three thousand sabres and not a dull blade.
俺たちは三千のサーベルで、みんな冴えた刃を持ってるのさ
Come tighten your girth and slacken your rein;
さあ、馬の腹帯を締めて、手綱を緩めようじゃあないか
Come buckle your blanket and holster again;
毛布とピストルケースを留め直せ
Try the click of your trigger and balance your blade,
引き金を引いてみろ 刀身のバランスを調整しろ
For he must ride sure that goes Riding a Raid!
なんたって、ストーンウォールは奇襲に乗り込むために、馬に乗るに違いないからな
解説
・これまた韻の美しい歌。
・この歌は、アンティータムの戦い(1862年9月)が題材だそう。このアルバムはおよそ時系列順のコンピレーションとなっているため、なぜこの順番でアンティータム?と思ったら、J.E.B.スチュアートの弔いのために作られた歌だからだそう。彼はストーンウォール・ジャクソンに見初められ、第一次ブルラン、アンティータムと、ポトマック沿いの戦いで次々と功績を上げた。
アンティータムでは、ポトマック川を渡り、メリーランドへ奇襲をかけたので、曲中に「メリーランド」とある。
J.E.B.スチュアートが亡くなったのは、1864年5月のイエロータバンの戦いの次の日。
・ストーンウォール・ジャクソンとJ.E.B.スチュアートについては、以前訳した「Stonewall Jackson’s Way」の解説を参照。
ちなみに、最初にも書いたとおり、アンティータム時点でのストーンウォール・ジャクソンは38歳。38歳でoldなんだ…
なお、北軍兵士の平均寿命は25.8歳であることを踏まえると、「年上の」くらいのニュアンスかもしれない。
以下は1800-1810のデータ。わかりやすいグラフが載っているので、見て欲しい。当時は死産の割合と乳児の死亡率が非常に高かったため、平均寿命は長くない(40歳手前くらい)が、寿命の最頻値は68歳くらいとのこと。ここから50年経っているので、状況は改善していると思うが、大幅に改善しているというわけではないだろう。
(信頼できるデータ元ではないので参考程度に)
・※の箇所について。good-bye old rebel!は誰を指しているのか。
発言元がストーンウォールであると考えると、J.E.B.スチュアートに呼びかけていることになる。しかし、アンティータム当時の彼は29歳であり、兵士の平均年齢から考えても、そこまで年上とは思わない。
というわけで、おそらく、発言元はJ.E.B.スチュアートであり、ストーンウォールに対して呼びかけていると考えるのが自然ではないだろうか。
・毛布について。毛布の装備といえば、ぐるぐる巻きにして背嚢の上にくくりつけるのが鉄板だが、南北戦争時もそうであったようだ。なお、将校クラスだといわゆる簡易レインコートのようなものが使われることもあったらしい。
・balance your bladeについて。刀は一般的に、自分の身体のクセや腕の長さなどを踏まえて、刀身や装飾の位置などを調整しないといけないそう。
日本刀で計算している方がいました↓