【第32回】サニー・ボーイ・ウィリアムスン/ダウン・アンド・アウト・ブルース
最近昔を懐かしんで子供の頃に遊んでいたゲームをやっている。現在ファミコンの「ドラゴンクエストⅠ」をクリアして「ドラゴンクエストⅡ」をやっているのだが、これがまあ面白い。最近のゲームは映像はとてもキレイになったけれども、あんまり自分で操作してる感じがしなくて、全然ゲームしてる感じがしない。昔のゲームはホントゲームしてる感じがして面白かったなぁ。と言うのは操作についていけてないおっさんのただの負け惜しみなのかもしれないね。まあ、仲間が増えたり強い武器を手に入れたときのワクワク感とか、あと少しで新しい街に辿り着くってときに遭遇した未知の強敵とのハラハラドキドキの戦闘とか、そんなものを素朴なドット絵と共に楽しんでいるのである。
なぜこんな話から入ったかというと今私が聴いているのが「サニー・ボーイ・ウィリアムスンⅡ」というまるで何かの続編のような名前のブルースマンだからだ。「Ⅱ」というからには当然「Ⅰ」もいるわけなのだが、特に「Ⅰ」との血縁関係があるわけではなく、「Ⅰ」の人気にあやかってつけた名前らしい(ちなみに本名は「ライス・ミラー」というらしい)。しかも「Ⅰ」の許可は特にはとっていないようである。どちらもブルースマンでハーピスト、しかもほぼ同年代というからややこしくて、「Ⅰ」とか「Ⅱ」とかも区別するために周りの人間がつけたもののようだ。
「ドラゴンクエスト」で例えると「ドラゴンクエスト良いなぁって」っつって「エニックス」とは全然関係のない会社が無断で「ドラゴンクエストⅡ」を作っちゃうようなものである。知らないで買っちゃった子供は涙目である。
このエピソードだけでもクセ者のかほりがぷんぷんする。同じブルース・ハーピストの「リトル・ウォルター」もかなり破天荒な人だったみたいだけれど、エピソード的にはこっちのほうかおもしろい。
とはいえこの「Ⅱ」はとても出来が良い。なかなか強烈なジャケットの「ダウン・アンド・アウト・ブルース」を聴いているのだが、クセになる味がある。このLPはチェス時代のセッションを集めたもので、このときすでに50過ぎのおっさんである。声とかしゃがれてて全然上手くない。上手くはないんだけれどなんか味があるんだよね。例えるなら「男はつらいよ」を歌う「渥美清」みたいな、その声だけで様になるという感じ。
そんな味のあるしゃがれた声で軽快なブルースにのせてノリノリで歌っている。ハーピストなので当然ハープもカッコいいし、ギターはまたも登場の「ロバート・ジュニア・ロックウッド」で、いぶし銀のギターを聴かせてくれる。収録時間は30分少々ととても聴きやすい時間で、気軽に楽しめてとても良い感じのLPである。この時期のチェス・レコードはホントに良いLPが多いなぁと改めて実感させられる。
ちなみに私は「サニー・ボーイ・ウィリアムスン」の「Ⅰ」は未聴である。いつか「Ⅰ」も聴こうとは思っているが、「Ⅱ」から入っても十分楽しむことができたのでそこは安心してください。
このブルース
ニセモノだとは
言わサニー
季語はブルース。