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松本人志流クリンチ芸と『トークサバイバー』大悟の共通点

Netflix『トークサバイバー!ラスト・オブ・ラフ』面白かったです。テレビではイジられキャラのイメージが強いダイアン津田さんがトーク要員として主役級の活躍をしていたり、それぞれの出演者に見どころがありました。個人的には、瞬間最大風速で一番笑ったのは井上咲楽さんの一言でした。

『トークサバイバー!』では、芸人たちが与えられたテーマに従って演技をしながらエピソードトークをすることになっています。でも、これの前身である企画をやっていた頃から合わせると、主役の大悟さんはすでに大量のネタを消費していて、カラカラに乾いた状態。でも、そんな中でも、固く絞りきった雑巾からさらに一滴を絞り出すようにトークをする大悟さんが、『とんぼ』に出てる頃の長渕ぐらい男前でした。

そんな大悟さんの勇姿を見て私が思い出したのは、『ガキの使いやあらへんで!!』中期の松本人志さんのトークです。この番組ではダウンタウンの2人のフリートークが名物企画になっていました。

番組が始まったばかりの頃は、視聴者から寄せられた素朴な疑問に対して、松本さんが即興で面白い答えを返すという試みが行われていました。これはこれで死ぬほど面白かったんですが、回を重ねるうちに、松本さんのトークの内容が変わってきました。

質問に対して真正面から大喜利的な「正解」を返すのではなく、答えが思いつかなくて時間稼ぎをしたり、話をそらしたりする素振りをして、そこを浜田さんに厳しく責められる、といったムーブをすることが増えてきました。

これは、本当に答えが思いつかなかったわけではなく、まっすぐに答えを返すことに飽きてきたか、答え方がパターン化してきたと感じた松本さんが、別のやり方をするようになってきた、ということだと思います。

いわば、クリンチ芸。激しい打ち合いができないときには、何とかもがいてクリンチして、時間を稼ぐ。そこを芸として見せるようになってきたのです。

今回の『トークサバイバー!』の大悟さんも、あのときの松本さんと似たようなクリンチ芸をしていました。正攻法でまっすぐに戦う強さもあるし、ゲリラ戦でしぶとく生き抜く強さもある。大悟さんの芸人としての器の大きさを改めて思い知らされました。