本当の第一感を言える才能
先日、あるポッドキャスト番組を聴いていたら、語り手の1人が『地面師たち』の感想を話していました。そこで、その人が最初に「池田エライザがかわいかった」と言っていたことに感動しました。
『地面師たち』が面白い、という話はあちこちでたくさんの人が語り尽くしていると思うのですが、だいたいの人は、物語が面白い、あの場面が良かった、あの人の演技がすごかった、「もうええでしょう」「最もフィジカルで最もプリミティブで」のフレーズが面白いとか、そういうところから話を始めたりする。
でも、そのポッドキャストの語り手の人は、混じりっけのない第一声で「池田エライザがかわいい」という話をした。そこに虚をつかれた感じがしました。
たしかに、『地面師たち』を見た私の中にも、それは間違いなくあった感想でした。そして、振り返ってみれば、いろいろ思ったことの中で、割と上位に位置していたような気もする。でも、全部ひっくるめて考えたときに、『地面師たち』について話そう、ということになって、最初の最初に「池田エライザがかわいかった」とは、普通はなかなか言えないと思うのです。
こういう感じで、第一感を素直に言えるというのは、一種の才能ではないかと思います。みんなも思っているし、割と多数派の意見なんだけど、実はなかなか言えない、一周回ってそこに気付けない、みたいなことはあって。そこをズバッと突ける人はすごいなあと思いますね。
以前、『チャンスの時間』という番組で、千鳥の大悟さんが「なぜ人はタバコを吸うのか」というテーマで話をしていて、その理由について「かっこいいから」とズバリ言っていたときにも、同じ意味で感動しました。
かっこいいからタバコを吸う。絶対そうなんだけど、普通はあんまり気付けないし、言えない。しかも、吸う側の人間がそこに気付いて、それを口にできるというのがすごい。
みんなが角度をつけたことを言いたがるこの時代には、第一感で思ったことをポンと言える人が一番すごいと思います。
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