【サウナと私5】ととのいを求めない
数年前からのサウナブームの中で、サウナに入るのは「ととのう」ためである、という風潮が広まっている気がする。ととのうというのは、サウナに入り、水風呂に入り、そこから出た後の休憩中に体がふわっと浮かぶような心地よい状態になることだ。
ととのうのが気持ち良いことは間違いないし、それを期待するのは悪いことではない。でも、ある程度のサウナ経験を重ねた今では、私はあえてととのいだけを求めてサウナに行くことはない。なぜなら、ととのいとは結果に過ぎないからだ。
サウナに行ってみて、ととのわないことがあったとしても、それは失敗ではない。今日はたまたまそうならなかった、というだけのことだ。自分の体調や、そのときの気分や、サウナの環境や入り方によって、ととのいの度合いは変わる。
なるべくととのう確率が高くなるように、ベストだと思えるやり方を試してみるのは構わない。しかし、私はそこで期待をしすぎないようにしている。ととのわなければいけないわけではないからだ。
そのような義務感から離れることこそが、サウナ道の本質である。ととのいとは向こうから来るものであり、こちらからつかむものではない。ととのわなかったからといって失敗ではないし、ととのったからといって成功ではない。
そのような成功・失敗だとか、こうなるべき・こうするべきといった考え方から解放されるために、人はサウナに行くのである。ととのいは、サウナのプロセスの最後についてくるおまけのようなものであり、そこがゴールではない。
サウナブームの中で「ととのう」という言葉が独り歩きしているのが気になっている。あの独特の心地よい感じを「ととのう」と表現した先人のセンスには敬意を表するが、そればかりにとらわれているとサウナの本質を見失うことになる。
ただ行って体験すること。それがサウナのすべてだ。
《告知》
12月12日(火)の19:00~23:30に新宿の「ビキニマシーン」というBARで一日店長イベントをやります。よろしくお願いします。
『お笑いの話ができる地下BAR』
日時:12/12(火)19:00~23:30(L.O.23:00)
場所:ビキニマシーン
(東京都新宿区歌舞伎町2-9-18 ライオンズプラザB1F)
料金:チャージ1000円、ドリンク700円~