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フジテレビと陽キャの終わり

フジテレビが圧倒的にすごい時代というのはたしかにあった。具体的に言うと80年代から90年代半ばぐらいまでの時期。このときのフジテレビはとにかくすごかった。どうしようもなくキラキラ輝いていた。

時代は移りゆくもので、その後、日本テレビが調子の良い時期もあったし、テレビ朝日が良い時期もあったし、最近ではテレビ東京の評判が良くなっていたりする。ただ、それらの局のそれぞれの時期の「好調」という感じは、あの頃のフジテレビとは全く違う。

あと、フジテレビは90年代半ば頃に視聴率で日本テレビに抜かれて覇権を譲り渡すわけですが、その後、再び視聴率トップに返り咲いて、第二の黄金期を迎える。『トリビアの泉』とかの時期。でも、この時期のフジテレビは、私に言わせればあの頃ほどではなかった。

たぶん、いま30代よりも下の世代の人は、本当の意味でフジテレビが一番すごかった時代を知らないのではないかと思う。それはもうとんでもなかった。私も子供だったので、ちゃんと記憶に残っているのは90年代に入ってからの時期だけだが、それでもそのまぶしいほどの輝きは忘れられない。

簡単に言うと、当時のフジテレビには「調子に乗ってるやつ特有の強さ」があった。俺たちが時代を作っている。俺たちが一番面白い。何の迷いもなく全員がそれを信じているような強さ。全員がルフィの麦わら海賊団。ゴムゴムすぎる。

一言で言うと「陽キャ」の世界。その後のフジテレビにもその空気は残っているし、テレビ局全体にその空気は今もあるけれど、あの頃のフジテレビにはそれが最も強く存在していた。

陽キャの時代はいつの間にか終わっていた。でも、そのことに気付かないまま、令和の時代になっても踊り続けていた人たちがいた。今その人たちが一掃されようとしている。

「YouTuberが警察に捕まり始めている」と言った漫才師がいたが、今は「あの頃のフジテレビ的なもの」がどんどん捕まり始めている。あの頃のフジテレビが大好きだったが、陽キャではない私としては、残念な気持ちとざまあみろという気持ちがちょうど同じだけある。