ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ
『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』見ました。めちゃくちゃ面白かったです。3作目にして最高傑作。1作目、2作目は配信で見ていて、3作目は劇場で見たので、そのバイアスがかかっている部分があるとはいえ、それを差し引いても、この作品はすごかった。
何がすごかったのかを一言で言うと、今回の敵役である冬村かえで(池松壮亮)の存在感。この人の人物造形がすばらしすぎて、作品全体のトーンが過去作とは少し変わっていました。
『ベイビーわるきゅーれ』シリーズは、基本的には「日常系殺し屋アクションコメディ」だと思うんですよね。若い殺し屋の女子2人が、ゆるゆると日常を過ごしながら、仕事としてカジュアルに軽いノリで人を殺していく。
でも、本作では、敵役の冬村かえでがめちゃくちゃ強い。その上、キャラクターとしての芯がしっかりしていて、魅力的すぎる。1本の映画で主役を張れるレベルの逸材が、主役ではなく敵として立ちはだかっているので、必然的に彼が絡むドラマやアクションの密度がものすごく濃くなり、全体のトーンがコメディ調ではなくシリアス調になる。でも、そこがいい。
バトル漫画的な感覚で『ベイビーわるきゅーれ』を見ると、これまでは主人公の2人が強すぎて、勝つか負けるかのドキドキ感が不足しているところがあった。今回は初めて生きるか死ぬかの戦いという感じになっていて、純粋に熱くなれるところがあった。
シリーズ3作目にして、3作目が一番面白くなるのって、めったにないことだと思うんですよね。今までのやり方でもそれなりに成立していたはずなのに、あえて新境地を狙いに行って、それが見事に決まっていた。やっぱりこの監督、この制作チームは信頼できるな、と思いました。次回作にも期待しています。