浅い感想も言おう
映画ナタリーで連載中のミルクボーイ駒場さんの映画コラムが面白いです。
映画の内容がうまく読み取れず、「えっ、この映画ってそんなこと言うてた?」となりがちな彼が、有名な映画を見た感想を素朴に語っています。
この連載を読んでいて、こういうふうにわからないことを「わからない」と言う素直な感想みたいなものは、今の時代には貴重だな、と思いました。
一般に、映画は映画を見慣れていない人にとっては難しい。あらすじを見失ったり、伏線に気付かなかったり、登場人物の顔と名前が覚えられなかったりすることはよくあります。でも、それを言っても「浅い」と思われがちなので、SNSなどではそういうことを言えない風潮があります。
でも、そういう人は少なくない割合で確実に存在するのだから、そういう率直な感想をもっとたくさん読みたいなあ、と思います。どんなジャンルでもそうです。
ドラマや映画の「考察」が流行っている風潮などを見ていても思うことですが、「わかりたい」と思う人が多いのかなという気がします。その気持ちもわからなくはないけど、わかりたいという願望は「わからないといけない」という強迫観念に結びつきやすい。そこまで行くとちょっと不健康じゃないかなと思います。
そもそも、わからなくてもいいんです。「この映画、話の筋はよくわからなかったけど、戦いの場面は迫力があってドキドキした」でもいい。感想は自由。私たちはわかるために創作物を見ているわけではありません。
もちろんわかること自体の楽しさもある。でも、わからなくても楽しいこともある。わからなくて楽しくない場合は最悪ですが、まあそういうこともある。
ネット上などに感想を書くのが、誰かに読まれるためなのだとしたら、その誰かの1人になる可能性がある私個人の意見としては、誰もが気軽に感じたままの感想を素直に書いてくれたらいいのにな、と思っています。