40年目の反省リスト(15)1998年
1998年の秋、「まんがパロ野球ニュース」の連載が終了したのを機に、パソコンを始めた。
「パロ野球」の野球蘊蓄マンガの連載は、ネタ調べに費やす時間が月のうち2週間かかっていて、その時間がドカッと空いた。ちょうどいいタイミングだと思って、池袋のビックカメラでパソコンを購入したのだ。仕事仲間(スタジオHEGE)が運営するサイト「HEGEロイド」は前年1997年から既に開設しており、メンバーからも早くパソコンを買え買えとせっつかれていたので、ようやく面目が立った。
その当時「HEGEロイド」でしか載せられないような内容の4コマ画像データがまとめて出てきたので、今回これを有料ゾーンにて公開することにする。全部で18本。我と思わん度胸あるお方はどうぞご覧ください。(ヒント・前回1997年の回で公開した中日4コマを一回り煮締めた内容)
さて、この年の一番のトピックスは、落語プロデュース団体が主催した新作落語脚本募集企画「新作落語大賞」に応募し、ビギナーズラックで大賞を頂いたこと。しかしこれは文字方面の受賞で、マンガや絵は無関係。
絵の方では、1994年の回で登場した「笑説大名古屋語辞典」の文庫版(角川書店)と「名古屋学」の普及版(ソフトカバー)がやっぱり同じ年に出た。他にもこの年は、「ぶらり名古屋 歩楽八十八景」という中日新聞社の旅ガイド本の表紙イラストも描かせてもらった。
「笑説~」の続編「やっとかめ!笑説大名古屋語辞典」(2003)や自著も含めると、名古屋本の表紙イラストは全部で7冊ほど描いてるけど、デザイン的にはこの「普及版 名古屋学」の表紙イラストが最もお気に入り。
一方、サッカーワールドカップ関連企画として「岡ちゃんが行く!」という似顔絵4コマアンソロジーの仕事もあった。版元がメディアレブというよく覚えてない会社で、「どういう伝手だっけ?」と当時のスケジュールカレンダーを調べたら、学研の関係だったことがわかった。
また、たかみね駆先生の4コマ単行本「きまぐれMVP」(NHK出版)に何人かの作家さんと一緒にイラスト寄稿する仕事もあった。
この2冊、いずれも周囲がよく知る作家さんたちばかりで、「パロ野球ニュース」の空気感そのままだった。「まんがスポーツ」(芳文社)を含めた、スポーツ4コママンガ家としての10年余りはやはり大きかったと思う。
反面、こんなこともあった。
「パロ野球」の仕事が終わるので営業せねばと思って、今まで足を運んだことの無かった某出版社の編集者さん(知り合い)の所へ、別ジャンルの4コマ原稿を持って足を運んだら、その編集者さんに
「なかむらさんはやっぱり野球ですから」
と、やんわりお断りを受けた。
持ち込んだ原稿がその雑誌の掲載水準に達していないためだったかもしれない。だとしたら、私を傷つけないためのお心遣いだったのだろう。もしそうであれば、その編集者さんには感謝しなければならない。
ただ、その時はこの言葉をそう捉えず、
「今後のために、いっぺん『野球4コマ』の看板を下ろした方がいいか?」
と強く思った。
しばらく抱えていた迷いの抜け道が、この言葉で一瞬ながら、フッとひらけた気がした。
(第15回・了)
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