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40年目の反省リスト(12)1995年

始めに、前回(1994年)のお詫びと訂正から。
自分のマンガ家人生の一大変動を、一つ書き忘れてた。
芳文社の「まんがスポーツ」の休刊である。
ずっと休刊が1995年8月号と勘違いしてて、実際は1年早い1994年8月号だった。どうも失礼しました(誰に謝ってるのか)。

1987年11月号、ファームの日本シリーズ「ジュニア選手権」リポートを、いきなり2色見開きで担当させてもらって以来、都合7年弱、「まんスポ」にはとてもお世話になった。一度、読者アンケートの結果を聞き、大いに驚いたこともある。

ちなみにヘッダーおよびこのカットは
「ドラまちっくドラGONS」最終話のヒトコマ。

最終号には編集長の挨拶文が載ってた。9年を振り返る述懐、「役割を終えた」などの心境の後、締めくくりが
「この漫画誌にはいくつかの面白い要素が含まれています。漫画編集者養成
スクールの皆さん、これを今年の夏休みの宿題としておきましょう。新しい
スポーツ漫画誌を考えてみて下さい」
という謎の問いかけ。当時私はこれがよくわからなかった。

それから21年のちの2015年、マンガ評論家の新保信長氏が、
「1995年から、マンガからも年間数十万円の肖像権料を取ることが、
プロ野球の肖像権に関する委員会により決定した」
と書かれた一文(note「肖像権と著作権と水島新司」より)を読み、
「『まんスポ』の休刊は、この決定を見据えてのことだったのかな?」
とも思えた。
もっとも、似顔絵時事4コマや新聞のヒトコマなどジャーナリスティック視点のあるマンガは例外だったそうで、それを口実に回避できただろうし、現に「パロ野球ニュース」はその後も継続していたから、あるいは別の理由だったのかもしれない。
それと、「さっきのウーやんのどこがジャーナリスティックやねん」というツッコミは、自覚しているので自分でしとく。


お詫びの前段が長くなった。話題を1995年に。
1995年といえば、日本人の記憶の歴史年表には「阪神淡路大震災」と
「オウム事件」の2つが大見出しで載っている年である。
私個人にとっても、マンガ家生活の中では前年に引き続きデカめの衝撃を
受け続けた、ザワザワした年だった。

(衝撃その1)
1977年以来、幾度となくあったピンチを乗り越え続けた奇跡の雑誌「月刊OUT」が、ついに休刊した。
1995年当時は完全に誌面がアニメ情報誌であり、最後はスタジオHEGEのメンバーのギャグページを読むだけになってしまっていて、執筆者としては過去の人であったが、池袋で催された読者参加の休刊記念パーティには顔を出した。会場が偶然、数日前に引っ越した新居の目と鼻の先だったのだ。
同じ年、青磁ビブロスという出版社が「OUT」の遺志を継いで「MEGU」という新雑誌を立ち上げ、こちらの編集部からもお声をかけて頂いたが、後期の「OUT」以上にアニメ色が本格化しており、いよいよ居場所が無かったので途中で抜けさせてもらった。同誌はほどなく休刊した。

(衝撃その2)
「OUT」以外にも、連載雑誌が次々と休刊した。
1994~95年は、前述「まんスポ」と同じ系列の「まんがタイムジャンボ」、
自由にやらせてもらえた壱番館「まんが笑アップ」と同系の隔月誌、および系列会社の競馬雑誌「ザ・競馬」、さらに隔月から月刊になっていたぶんか社「イケイケ課長」など、4コマの連載誌が立て続けに無くなった。
1年のアタマと終わりでこれほどスケジュールが変わった年は無かったかもしれない。

(衝撃その3)
なんと、まさかの「週刊少年ジャンプ」に毎週自分の描く絵が!
久々のさくまあきら師匠のコネ仕事で、「ジャンプ放送局」の後継の読者ページ「バトルリーグ・ジャンポスト」がスタート。
主軸は当時のさくま氏の事務所の若手ライター4人で、私は年長メンバー役として加わったのだが、企画やなんかは4人の仕事。当初はメンバーやスタッフの似顔絵担当、ということでの参加だった。なので、じつはこの連載の具体的な部分にはほとんどタッチしていない。当時は人に説明する際、「雇われマスターみたいなもの」とよく言っていた。
連載の方は残念ながら半年弱で終了したが、自分としては「ジャンプ」に絵が載るなんて夢みたいな体験をさせてもらえた期間であった。ただ連載中にさくま氏が脳内出血で入院し、あまりはしゃいではいられなかった。
短期間だったのと、はしゃがなかったことが、自分の中で余計に非現実感を増幅させている。

(2)と(3)が重なり、さらに、翌1996年刊行の書き下ろし本の準備と執筆も進めていたから、気持ちが上がったり下がったり、情緒的にかなりヤバい時期だったと思う。
じつはそーゆーところも、今後の反省点の一つになるのだけど。
(第12回・了)
※今回も有料ゾーンありません

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