オドオド×ハラハラが終わる後に
※先に「ジョンソンが終わる前に」
をお読みいただいた方がより
楽しめると思われます。
2024年6月下旬、2023年秋にスタートした佐久間信行氏演出の番組「オドオド×ハラハラ」が僅か1年で終了するというニュースが世間を賑わせた。
今回のnoteでは、オドハラが終わる後にオドハラを改めて振り返り、オドハラに対しての考えや思い、そして、ジョンソンとオドハラが終わってしまった共通の理由やゴールデンお笑い番組の必要性について書いていこうと思う。
オドハラ開始から終了までの流れ
ここでは、オドオド×ハラハラの各回の放送内容を記すと共に、開始から終了までの流れを書いていこうと思う。
※ジョンソンとは異なり、各回の感想は書いていません。
2023年
特番 2023 6/10
・クイズ!大御所コラコラ
・ふわふわ料理店
・しょぼしょぼ先輩決定戦
※土曜プレミアム枠(21:00~23:10)
#1 2023 10/19
・芸能人言わない一言GP
・ふわふわ料理店
・あいうえお芝居
※初回2時間SP
#2 2023 11/2
・芸能人言わない一言GP
・ふわふわ料理店
#3 2023 11/9
・クイズ!チョメチョメ歌謡祭
・クイズ!スターコラコラ
#4 2023 11/16
・ふわふわ料理店
#5 2023 11/23
・芸能人言わない一言GP
・ふわふわ料理店
#6 2023 11/30
・クイズ!スターコラコラ
・あいうえお芝居
#7 2023 12/14
・芸能人言わない一言GP大賞2023
2023年6月、土曜プレミアム枠内で特番として放送。その特番が好評だったことを受け、2023年秋から木曜8時枠でのレギュラー放送が決定した。2023年は、特番放送で好評だったふわふわ料理店を軸に、同じく特番で放送された大御所コラコラ→スターコラコラ、レギュラー初回からスタートした芸能人言わない一言GP・あいうえお芝居の4企画がほとんどを占めていた。(それ以外の企画は特番のしょぼしょぼ先輩決定戦とレギュラー#3のチョメチョメ歌謡祭のみ)これらの企画に共通するのは大喜利要素の強い企画であるということ。ゴールデン向けの要素を入れつつも、レギュラーメンバーが大喜利的お笑いが出来る余白を作った企画と言える。
2024年(1~3月)
#8 2024 1/25
・ふわふわ料理店
#9 2024 2/1
・クイズ!スターコラコラ
#10 2024 2/8
・おじさんを見抜け展覧会
・ふわふわ料理店
#11 2024 2/15
・バック・トゥ・ザ・ギャルギャル
・芸能人言わない一言GP
#12 2024 2/22
・なりきりママクイズ
・芸能人言わない一言GP
#13 2024 2/29
・ドケチ春日VS高くても納得グルメ
・ふわふわ料理店
#14 2024 3/7
・なりきりママクイズ
木曜8時枠でのレギュラー放送を開始したオドハラだが、視聴率は振るわず。年明け直後の2回でふわふわ料理店、スターコラコラを1時間丸々放送して以降は、おじさんを見抜け展覧会、バック・トゥ・ザ・ギャルギャル、なりきりママクイズ、ドケチ春日VS高くても納得グルメと、立て続けに新企画を打ち出してテコ入れを図った。これらの企画はドケチ春日企画以外全てがクイズ企画であり、加えて、大喜利的解答が求められる要素も少なく、ゴールデン向けの要素を増やした番組を存続させるためのテコ入れであると感じた。そんな中、2024年春改編で木曜9時への枠移動が決定。
2024年(4~5月上旬)
#15 2024 4/4
・芸能人自宅横断ウルトラクイズ
・(フワちゃん宅)
・(ROLAND宅)
・(とろサーモン久保田宅)
※2時間SP
#16 2024 4/18
・芸能人自宅横断ウルトラクイズ
・(井上咲楽宅)
・ドケチ春日VS高くても納得グルメ
#17 2024 4/25
・ドベタ家の日常
・マジ飯選手権
#18 2024 5/2
・ドベタ家の日常
・若林演技派俳優への道
木曜9時台初回は新企画、芸能人自宅横断ウルトラクイズを放送。木曜9時台では、それまでの企画をほとんど放送しなくなった。(#16ドケチ春日VS高くても納得グルメと後述の#24クイズ!令和ギャル何て言う?(バック・トゥ・ザ・ギャルギャル)のみ)他にも、ドベタ家の日常というベタを予想するクイズ企画を前半、レギュラーが体当たりで挑む単発企画を後半に放送する形態も2度放送された。
2024年(5月下旬~9月)
#19 2024 5/16
・芸能人自宅横断ウルトラクイズ
・(ユージ宅)
#20 2024 5/30
・芸能人自宅横断ウルトラクイズ
・(TKO木下宅)
#21 2024 6/13
・芸能人自宅横断ウルトラクイズ
・(國分利治宅)
・(JOY・わたなべ麻衣夫妻宅)
※2時間SP
#22 2024 6/20
・芸能人自宅横断ウルトラクイズ
・(テスタ宅)
#23 2024 7/4
・芸能人自宅横断ウルトラクイズ
・(東儀秀樹宅)
#24 2024 7/25
・芸能人自宅横断ウルトラクイズ
・(有村昆宅)
・クイズ!令和ギャル何て言う?
#25 2024 8/1
・芸能人自宅横断ウルトラクイズ
・(アレクサンダー・川崎希宅)
#26 2024 8/29
・芸能人自宅横断ウルトラクイズ
・(西村誠司宅)
#27 2024 9/12
・支持率を上げろ!極論演説王!
#28 2024 9/19
・支持率を上げろ!極論演説王!
5月下旬から8月までは、芸能人自宅横断ウルトラクイズが放送内容の大半を占めることになる。更に、1時間1軒の放送ペースになったことや芸能人以外の豪邸に訪れるパターンも増え、明らかにチャレンジトークバラエティーの要素が薄れていった。そして、冒頭で述べたように、6月下旬に9月でのレギュラー終了報道が出た。9月上旬には9月でのレギュラー終了が正式発表。そんな中で、ラスト2回は新企画である極論演説王を放送。最後の最後に番組として意地を見せた形となった。
オドハラ独自の終了理由
オドハラ独自の終了理由として挙げられる理由は、見切り発車のレギュラー化と明らかなテコ入れの失敗の2つ。
まず、見切り発車のレギュラー化については、特番放送時、オードリー×ハライチ×佐久間宣行という組み合わせで番組をやることへの注目度が高かった。それで手応えを得たからこそレギュラー化に踏み切ったと思われるが、何回か特番をやってある程度番組としての地盤を固めてからレギュラー化した方が良かったのでは?と思う。特番1回でレギュラー化した新しいカギも開始当初は迷走していたから尚更。また、裏話を聞くに総合演出の佐久間宣行のスケジュール的にも急ピッチのレギュラー化だった点は否めない。
そのような見切り発車でスタートしたオドハラは、年明け以降テコ入れを行うことになったが、そのテコ入れが明らかに上手くいかなかった。具体的な失敗点は開始当初のようなお笑い的な企画を諦め、番組のメイン企画が徐々に守りに入った企画になってしまっていた点が挙げられる。中でも代表的なのは自宅訪問クイズ。そもそもこの企画自体ゴールデン番組っぽい企画ではあるのだが、それでも開始当初は芸人宅を中心に訪問するなどのお笑い要素をギリギリ含んでいたが、次第に芸能人以外のお宅訪問になり、コーナーもお笑い要素が薄いものが増加していった。そして、このテコ入れの失敗が、元々存在した数少ない固定層にすらそっぽを向かれてしまうという最悪の結末を生んでしまった。
そんなオドハラでも、個人的に評価したい点は1つだけ存在する。それは、若林をプレイヤーに据え続けたこと。MC仕事がほとんどの若林をプレイヤーで自由にさせ続けたことで、オドハラでしか見られない若林を演出したこの1点だけは素晴らしい点であると思う。
共通の終了理由
ここからは、ジョンソン、オドオド×ハラハラの2番組に共通する番組終了の原因を書いていこうと思う。
一枚岩になれなかった演者とスタッフ
まず、両番組に共通する失敗点は、番組として一枚岩になることが出来なかった点が挙げられる。番組終了報道直後、両番組レギュラーの一部がラジオで番組が上手くいっていなかったことを示唆する発言をしていた。その発言を聞くに、演者達はもっともっとお笑いをやりたかったことが伺えた。だが、スタッフ陣も番組を生き延びらせるため、視聴率を上昇させるためという理由もあって、お笑い以外の要素を含んだ番組を作る。視聴率が低迷し、番組が上手くいっていなかったこともあって、演者とスタッフに存在したすれ違いがより浮き彫りになってしまったのだろうと考える。
また、オドハラは終了発表後、MC陣や佐久間氏が意志疎通が取れていなかったことを暗に示唆する発言を行っていることから、なんらかのトラブルが発生していた可能性が高そう。
加えてジョンソンも、開始直後に行われた飲み会で締めの挨拶を任された濱家が、スタッフの意識の低さに対してぶちギレたという報道があった。(芝の発言を踏まえると多分事実)このエピソードから、ジョンソンに関しては開始当初から一枚岩になっていなかったのではないだろうか。
編成の冷遇と視聴率の負のスパイラル
両番組の終了原因には、編成の冷遇も要素として挙げられている。(特にジョンソン)
しかし、編成が冷遇するようになったのにはきちんとした理由があると考える。それは視聴率の低迷。番組開始後の半年間、オドハラは基本的には通常放送を行っていた。ジョンソンも通常放送がほとんどだったが、50分の短縮放送も何回か行われた。だが、この半年間で視聴率は上昇せず、オドハラは時間帯変更というカードを切るほどの状態であった。この半年間の編成で、個人的に上手くいかなかった要因としては能登半島地震の影響が挙げられる。能登半島地震の影響で、元日を中心に正月特番が延期となったが、両番組も玉突き的に新年一発目の放送が延期された。(ジョンソンは元日深夜の放送が延期)そして、この延期により年末年始の放送が6週間も空いてしまった。視聴習慣を定着させたい新番組において、これだけ長い期間放送がないのは相当な痛手であっただろう。
そのような状況下でもなんとか春改編は乗り越えたが、編成側の堪忍袋の緒が切れた2時間SPというのが両番組に存在する。
ジョンソンの場合は2段階。1段階目は4月22日の2時間SP。初回以来の2時間SPであり、メンバーが帯番組をジャックして宣伝したにも関わらず、視聴率は2%台に低迷。このSPで大きなダメージを負ったジョンソンだったが、2段階目はそれから1ヶ月後となる5月20日の2時間SP。SixTONESを始めとしたアイドルをゲストに迎えたにも関わらず、求められた結果を残せなかった。この2時間SPから9週連続で放送休止になったことからも、局側が我慢の限界を迎えたと推測出来る。
オドハラは6月13日の2時間SP。こちらもジョンソン同様、視聴率は2%台に低迷した。この2時間SPから2週間もしない内に番組終了報道が出たことから、決定打となってしまったことが推測出来る。
そして、終了報道が出て以降の放送ペースは、ジョンソンは月1の2時間SP、オドハラは月2の通常放送とお互いに月2時間放送に留まっており、露骨に編成から諦められて冷遇されていると言わざるを得ない。
時間帯と裏番組
両番組ともに終了原因の大きな割合を占めるのが放送時間帯であろう。
まず、ジョンソンは月曜9時。そもそも月曜のTBSは結構な弱点であり、番組の入れ替わりも激しい。また、裏番組にはフジテレビの月9や日本テレビのしゃべくり007などがあり、多くの固定視聴者が存在する形に。それだけでなく、テレビ朝日のQさまとも裏番組であるため、リンカーンレギュラーを呼ぶという選択肢も封じられていた。
一方で、オドハラは木曜8時→木曜9時。木曜のフジテレビは現在、月曜のTBS同様に結構な弱点と化しており、ここ1年、番組の入れ替わりが激しくなっている。また、裏番組には、日本テレビのぐるナイ→ケンミンショー極やTBSのモニタリングなどがあり、入り込む余地は無かったとも言える。
加えて、平日のゴールデン帯でお笑いバラエティーは受け入れられづらい現状が存在すると考える。昨今人気お笑いバラエティーは、水曜日のダウンタウンや月曜から夜ふかしなどのような平日プライム帯か、イッテQや鬼レンチャンなどのような休日ゴールデン帯での放送が基本である。
つまり、そもそも強敵の裏番組が放送されているために局のアキレス腱となっている曜日かつお笑い番組視聴者のニーズに合わない時間帯で放送したこと、それによって視聴率が低迷して編成的に冷遇される立場となり、視聴習慣もつかないという負のスパイラルに陥ってしまい、テコ入れと称してお笑い要素が少ない企画をやるようになって出演者とのズレが起こってしまったという一連の流れが、両番組に共通する早期終了の原因であると考える。
終わりに
ここまで様々なことを書いてきたが、改めて、両番組が僅か一年で終わってしまうのはとても残念である。正直、一向に面白くならないし、視聴率が好転することもない両番組に対してもどかしさを感じることも多々あった。ゴールデン向けに企画内容が変わっていくのを見て、お笑いで勝負させてくれる環境の難しさを感じると共に、なんで勝負させてくれないんだと思うこともあった。ずっと番組を見てると、これはもう終わるかもしれないなと感じる場面もたくさんあった。もし新しいカギのように我慢していたら、学校かくれんぼのような人気企画を作って一気に人気番組になったかもしれないのに…とも思った。
ただ、この両番組にそれだけの思いを抱くのは、この両番組が始まった時、それだけ嬉しかったからだろう。ジョンソンは自分が一番好きなドリームマッチやリンカーン、キングオブコントなどの流れから誕生した番組であったこと(この流れを振り返るnoteは改めて書きます)、オドハラは俗に言う他事務所芸人のお笑いバラエティーであることが大きな要因である。そして、両番組に共通する嬉しかったことは、このメンバーとゴールデンで勝負しよう!と思ってくれたことである。終了報道時、両番組ともに11時台なら…深夜番組なら…という意見も見受けられたが、自分はゴールデン番組じゃなかったらここまでの熱量を持って応援しなかったと思う。(しくじりチームの即興コント番組がゴールデンかプライム枠で勝負していたら応援してたと思うけど、テレ朝だから絶対しないだろう)それは、ジョンソンを考えるでも書いたが、厳しい戦いになることを理解した上で、この世代の芸人でゴールデンお笑い番組をやりたい!というその志を応援してた側面があるからだろう。だが、結果としてジョンソンとオドハラは志半ばで終わってしまうことになった。この結果を受けて、テレビのゴールデンタイムでお笑いの新番組が軌道に乗ることはないかもしれないという諦め、そもそもお笑いの新番組を作るチャレンジすらしなくなるのではないかという不安もある。
しかし、現在ではYouTubeなどいろんな選択肢があるなかで、6.5世代・第7世代芸人を中心に据えて、テレビ、しかもゴールデンでお笑いをやる意気込みを感じる番組、その上で人気になる番組がまたいつか現れてくれることを期待したい。そんな番組が現れた時には、全力で応援したい、いやします。そして、その志を持ったチャレンジャーの方には、是非ともジョンソンとオドオド×ハラハラをしくじり先生に、いや、反面教師にしてください。そうすれば番組が上手くいくのかもしれません。