R-1グランプリ2022追記
このnoteでは、R-1グランプリ感想で語らなかった部分の感想を書いていこうと思う。
※R-1グランプリ2022の感想はこちらから。
番組全体
まず、
巻かなくて良かった。
この一言に尽きる。昨年あんな大会になってたから余計に。時間配分もファイナリスト削減という劇薬でなんとかなった。番組構成も改善された。100点とはまだ言えないが、大会としては良くなったと思う。
個人的に不満があるとすれば、ファイナルステージのネタ順。ファーストステージの出番早い順ちゃうやろ。
また、昨年に比べて視聴率が下がったのは昨年の体たらくが影響している部分もあり、仕方ない。今年の視聴率にくよくよしている暇があったら、来年に備え、さらに良い大会にする努力の方が大事。
司会者
まず、お疲れ様でした。特に、広瀬アリスさんは番宣なしで出てて凄い。
霜降り明星の2名については、せいやは野球で例えると、ファインプレーの分だけエラーしていた印象。ただ、あのポジションは難しいということを踏まえると良くやったと思う。粗品も上手にこなしていたが、出場者に対して態度が変わっていた。まぁ先輩後輩の関係性もあるのかもしれないが、司会者だったらお見送り芸人しんいち「さん」じゃなくても良いと思う。
だが正直、霜降りの司会は早いという意見は納得出来る。M-1に並び立つ大会にしたいなら東野幸治辺りが適任かもしれないが芸歴10年以内に制限するような大会やからなぁ。
それだったら別に霜降り明星のままで良いと思う。
審査員
今年は、陣内智則・ハリウッドザコシショウ・野田クリスタルの3名が続投し、バカリズム・小籔千豊が初審査員を務めた。ここでは、審査員5人の傾向を紹介しようと思う。
※カッコ内は実際の順位
陣内智則
ファーストステージ
1 渡部おにぎり 93点(4位)
1 kento fukaya 93点(7位)
3 お見送り芸人しんいち 92点(2位)
4 吉住 91点(3位)
5 サツマカワRPG 90点(5位)
5 寺田寛明 90点(6位)
7 ZAZY 89点(1位)
8 Yes!アキト 88点(8位)
決選投票 お見送り芸人しんいち
ファイナルステージ
ZAZY
個人的には、一番好みが読めない審査員。点数の幅は少ないが、出来るだけ点数をバラけさせようとしていると感じた。コメントからは、もう1展開を重視しているように感じる。
バカリズム
ファーストステージ
1 吉住 91点(3位)
2 渡部おにぎり 90点(4位)
3 お見送り芸人しんいち 89点(2位)
4 サツマカワRPG 88点(5位)
5 Yes!アキト 87点(8位)
6 ZAZY 86点(1位)
7 寺田寛明 85点(6位)
8 kento fukaya 84点(7位)
決選投票 吉住
ファイナルステージ
お見送り芸人しんいち
待望論の多かったこの男がついに初審査員。個人的な感想は、全体的に厳しめの点数、フリップ芸系には特に厳しい。また、コメントを聞くにネタの悪かった点をズバッと言っており、悪かったところが目につくから点数が低めになるんだろうなと思った。
小籔千豊
ファーストステージ
1 ZAZY 98点(1位)
2 吉住 97点(3位)
3 お見送り芸人しんいち 94点(2位)
3 サツマカワRPG 94点(5位)
3 寺田寛明 94点(6位)
6 渡部おにぎり 93点(4位)
7 kento fukaya 92点(7位)
7 Yes!アキト 92点(8位)
決選投票 吉住
ファイナルステージ
ZAZY
この男も初審査員。今回の審査員の中で唯一R-1ファイナリスト経験が無いこともあってファイナリストにリスペクトがあるのか、基準点が高め。その中でも、ZAZYの世界観と吉住の悪意がとても好みだったのだろうなというのが分かる。
野田クリスタル
ファーストステージ
1 ZAZY 96点(1位)
1 サツマカワRPG 96点(5位)
3 お見送り芸人しんいち 95点(2位)
4 渡部おにぎり 94点(4位)
5 吉住 93点(3位)
6 寺田寛明 92点(6位)
7 kento fukaya 90点(7位)
7 Yes!アキト 90点(8位)
決選投票 お見送り芸人しんいち
ファイナルステージ
お見送り芸人しんいち
野田クリスタルは今年も全体順位との一致率が高かった。しかし、その中でサツマカワRPGにハマり、吉住にはハマらず。ここが個人的には興味深い。
ハリウッドザコシショウ
ファーストステージ
1 ZAZY 95点(1位)
2 お見送り芸人しんいち 93点(2位)
2 渡部おにぎり 93点(4位)
4 吉住 91点(3位)
4 サツマカワRPG 91点(5位)
6 寺田寛明 90点(6位)
6 kento fukaya 90点(7位)
6 Yes!アキト 90点(8位)
決選投票 お見送り芸人しんいち
ファイナルステージ
お見送り芸人しんいち
意外にもこの男が、今年の審査員の中で一番全体順位との一致率が高かった。審査員としては非常に常識的な視点で審査しているように思う。個人的に意外だったのが渡部おにぎり93点。ザコシはこういうタイプも好評価するんや。
そして、陣内智則に対する批判について。
まずは、コメントが「もう1展開欲しかった」ばっかり問題に対しては、まぁ3分のネタを賞レース感覚で見ると大抵のネタがそうなるのは仕方ない。だが、もうちょいコメントにも「もう1展開欲しかった」という視聴者が多かったのかもしれない。しかし、あんな短時間でコメントを用意するのは、陣内レベルの芸人でも至難の技ということは視聴者である我々も理解しておく必要があると思う。
もう1つは「決選投票問題」。2位を決める決選投票で、陣内が最高点の渡部おにぎりではなく、お見送り芸人しんいちに投票した理由の1つが、
お見送り芸人しんいちが
ピン芸人だから
という理由だった点である。これも言い方が悪いという部分はある。しかし、そういう点を重視するのは、その審査員の裁量。
ちなみに、この決選投票のキーマンはハリウッドザコシショウだった。理由は、決選投票の3組の中での最高点が
陣内 渡部おにぎり
バカリ 吉住
小籔 吉住
野田 お見送り芸人しんいち
ザコシ しんいちorおにぎり
であった。その証拠が、バカリ・小籔は吉住、野田はしんいちに投票。では、もし陣内がおにぎりに投票したと仮定しよう。
まず、ザコシが吉住に投票した場合、吉住がファイナルステージ進出。※ザコシは点数的に吉住に入れることはあり得ない。
続いて、ザコシがしんいちに投票した場合、過去のR-1のルールに乗っ取り、陣内が吉住かしんいちかに再度投票する。この場合、陣内はしんいちの点の方が高いのでしんいちに投票するだろう。ということでしんいちがファイナルステージ進出。
最後に、ザコシがおにぎりに投票した場合、過去のR-1のルールに乗っ取り、野田がおにぎりか吉住かに再度投票する。この場合、野田はおにぎりの点の方が高いのでおにぎりに投票するだろう。ということでおにぎりがファイナルステージ進出。
これは陣内がしんいちに入れた場合だと、
ザコシがしんいちに入れた場合(現実)、しんいちがファイナル進出。ザコシがおにぎりに入れた場合でもザコシが再度の投票でしんいちに入れるので、しんいちがファイナル進出。
長々と書いたが、要約すると、
・吉住のファイナルは絶対なかった
・ザコシがしんいちに入れた時点でしんいちのファイナル進出は確定
つまり、結果論だが、陣内の2択で結果は変化しなかった。まぁ、これで結果が変わっていた場合、ちょっといろいろ言われるかもしれないけど。
審査員改革
厳しいことを言うと審査員5人でいくなら野田とザコシのどちらかを変える方が良いかもしれないと思う。理由は、この2人の好みが似すぎているから。キングオブコントのさまぁ~ず・バナナマンぐらい似てる。7人だと目につかないが今年は5人でかつ席も隣だったので余計にそう感じる。
別に、2人の審査に不満がある訳ではない。審査員5人制は、キングオブコント2021で上手くいったが、基本的には7人制の方が上手くいく。来年以降は、この5名に誰か2名を加えた7人の審査員になって欲しい。主な候補は、女性枠の友近、チャンピオン枠はなだぎ武。この2人の共演はないかもしれないが、ピン芸人のために是非とも。
冬季五輪式採点
これ今年のR-1でやっても正直意味ないと思う。スノボとかは技の点数が決まっていて、平野歩夢の点数ズレ(7点差)は本来あり得ないらしいが、お笑いは、基準点が人それぞれなので、極端に高い人、低い人がいたらやる意味ないように感じる。名指しするならバカリズム、あなたのこと。※決して審査を批判している訳ではございません。
とりあえず結果はこちら。※500点満点換算カッコ内は実際の順位。
ファーストステージ
1 ZAZY 466点(1位)
2 お見送り芸人しんいち 465点(2位)
3 渡部おにぎり 465点(4位)
4 吉住 458点(3位)
5 サツマカワRPG 458点(5位)
6 寺田寛明 453点(6位)
7 kento fukaya(7位)
8 Yes!アキト(8位)
審査員
陣内 最高点1回 最低点1回
バカリ 最高点0回 最低点8回
小籔 最高点4回 最低点0回
野田 最高点3回 最低点0回
ザコシ 最高点0回 最低点1回
バカリズム、オール最低点のアンタッチャブルレコード達成!
その割に変動は吉住の順位が下がり、点数も大幅に減ったくらい。意外。
平均順位(2023 3/5追記)
ここでは、7人の順位を平均した順位でランキングをつける。普通は実際の順位通りになるはずだが…
1 お見送り芸人しんいち 2.8位(2位)
2 金の国 渡部おにぎり 3位(4位)
3 ZAZY 3.2位(1位)
4 吉住 3.2位(3位)
5 サツマカワRPG 3.4位(5位)
6 寺田寛明 5.4位(6位)
7 kento fukaya 5.8位(7位)
8 Yes!アキト 6.6位(8位)
大接点だった上位陣では変動が。実際2位のしんいちが1位。同4位のおにぎりが2位に。その一方同1位のZAZYが3位に。ZAZYは陣内バカリからの低評価が響いた形に。その一方、下位陣は変化なし。
相関係数(2023 3/5追記)
ここでは、各審査員の相関係数を発表していく。これで、誰と誰の審査が近いのか分かる?
陣内バカリ 0.191
陣内小籔 -0.267
陣内野田 -0.160
陣内ザコシ 0.053
バカリ小籔 0.267
バカリ野田 0.407
バカリザコシ 0.268
小籔野田 0.603
小籔ザコシ 0.592
野田ザコシ 0.755
トップ3は野田ザコシ・小籔野田・小籔ザコシ。ワーストは陣内小籔。トップ3はZAZY・陣内とその他4人はkento fukayaへの評価が数字に表れた。そして、陣内小籔・陣内野田はマイナス。これはおもしろい結果。
ちなみに、私の採点と審査員との相関係数は
陣内 0.204
バカリ 0.509
小籔 0.809
野田 0.788
ザコシ 0.682
ZAZY・吉住高評価の小籔と一番近かった。
審査員点数差問題
同点が多いのは審査員が点数差をつけないからだろという意見もあるが、本当なのだろうか?という訳でM-1・KOC・R-1 2021の審査員の点数差とR-1 2022の審査員の点数差を比べて見ることにした。
ちなみに、R-1 2022は決勝8組、それ以外は決勝10組。という訳で、M-1・KOC・R-1 2021は総合順位9位・10位の点数を除いた点数差を発表する。
R-1 2022
陣内 5点(最高点93 最低点88)
バカリ 7点(最高点91 最低点84)
小籔 6点(最高点98 最低点92)
野田 6点(最高点96 最低点90)
ザコシ 5点(最高点95 最低点90)
M-1 2021
上沼 9点(最高点98 最低点89)
松本 8点(最高点96 最低点88)
礼二 6点(最高点96 最低点90)
志らく 7点(最高点96 最低点89)
塙 4点(最高点95 最低点91)
富澤 6点(最高点95 最低点89)
巨人 5点(最高点94 最低点89)
※10組だった場合は上沼10点(最高点98 最低点88)松本9点(最高点96 最低点87)礼二7点(最高点96 最低点89)塙6点(最高点95 最低点89)巨人7点(最高点94 最低点87)。志らく・富澤は変動なし。
KOC 2021
松本 8点(最高点97 最低点89)
飯塚 8点(最高点97 最低点89)
小峠 6点(最高点97 最低点91)
秋山 8点(最高点97 最低点89)
山内 8点(最高点98 最低点90)
※10組だった場合は小峠のみ8点。(最高点97 最低点89)他の4名は変動なし。
R-1 2021
陣内 7点(最高点95 最低点88)
友近 7点(最高点96 最低点89)
ホリ 2点(最高点96 最低点94)
古坂 7点(最高点99 最低点92)
野田 4点(最高点95 最低点91)
川島 4点(最高点93 最低点89)
ザコシ 6点(最高点94 最低点88)
※10組だった場合は、陣内8点(最高点95 最低点87)ホリ3点(最高点96 最低点93)野田7点(最高点95 最低点88)川島5点(最高点93 最低点88)。友近・古坂・ザコシは変動なし。
こうしてみると、昨年のホリえげつないな。参考までにR-1 2009の堺正章は上位8組・全10組でも4点(最高点98 最低点94)だった。
今年のR-1では陣内、ザコシが昨年よりも点数差をつけていなかった。
バカリズムは来年以降審査員を務める際には、さまぁ~ず・日村が発症した「長年審査員を務めることで点数差つけなくなる病」を発症しないようにしていただきたい。
見た感じ塙は発症してそう。
※M-1 2018の塙は16点(最高点 98 最低点82)。
※ KOC 2015(松本以外)
大竹 11点(最高点98 最低点87)
三村 18点(最高点98 最低点80)
日村 13点(最高点96 最低点83)
設楽 6点(最高点92 最低点86)
※ KOC 2020(松本以外)
大竹 5点(最高点94 最低点89)
三村 10点(最高点96 最低点86)
日村 10点(最低点97 最低点87)
設楽 7点(最高点95 最低点88)
まとめ
なぜ、このような追記を書いたかというと、(特に審査員点数差問題)賞レースの審査員に対する批判が感情論というか、ちゃんと審査を見た上での批判ではないと思ったからである。もし、批判するとしてもしっかりとした理由や事実は絶対必要である。
批判する人に対しての批判は結構な人がしているので、私はしっかりした事実を提示しようと思って今回のnoteを書いた。
もし、このnoteに関する批判があるなら、しっかりした理由を持った上で批判してください。
熱くなってしまいました。最後まで読んで下さった皆様、ありがとうございます。