インドカレー屋で激辛と甘口のカレーセットを頼む人がいた。
この間、佐久間さんのANNでもとあるインドカレー屋の話をしていたが、僕も大学の近くにあるインドカレー屋にたまに行く。ANN内でも話題にあがっていたが、インドカレー屋は対して料理の内容が変わっている訳でもないのにランチとディナーの価格に差があり過ぎる。1度友達と夜に食べに行ったとき、そこら辺の洋食屋ぐらいの値段がしたのを覚えている。
まあこんな話はこの先どうにも繋がらないのでこの辺にして、本題に移ることにしよう。
僕はいつもその大学の近くのインドカレー屋で必ずカレー2種とナンおかわり放題のセットとラッシーを頼んでいる。カレーとラッシーはその日の気分によって決めている。
今回はカレーはシーフードとサグチキン、ラッシーはプレーン、そして辛さは2つとも辛口(5段階の3番目)にした。そして待っている間、今ここで観る必要のない研究に関する論文を読み、セットを頼むと付いてくるサラダが届いたのでそれを先に食べていた。
僕が行ったことがある全てのインドカレー屋ではサラダにあの何とも言えない赤いドレッシングがかかっている。あれは何で出来ているのかいまだにわからない。というのもあの味を思い出すときには大体カレーを食い終わり、頭の中がカレーの味だけになっているので思い出せないのである。好きな味だけれどもインドカレー屋でしか味わったことがない。スーパーに言ってもそれらしいドレッシングを見かけることがない。南アジアではポピュラーなドレッシングなのだろうか。
そんなことを考えながら、残り少ないサラダを食べているときに僕より少し後に入ってきた50歳ぐらいのワイシャツ姿のおっさんが僕と同じカレーセットを頼んでいた。カレーはマトンとサグチキン、ラッシーはマンゴー、そして辛さはマトンを激辛(5段階の5番目)サグチキンを甘口(5段階の1番目)にしていた。
僕は食べていたサラダに手を止め、もう一度カレーのメニューを見ながら「その手があったのか」と思った。これまで生きてきた人生の中で僕は一方の辛さを弱くするという頼み方をしてこなかった。2つとも僕の中でベストな辛さに合わせて頼んできた。しかしこの「辛さをわざと弱くする」という選択の方が明らかにカレーをより楽しめる。
「このおっさん賢いな」
「やはり僕の倍以上生きている人は考え方が広いな」
「おっさんはいつこの楽しみ方に気づいたのかな」
などと思っているところに僕の分のカレーが到着。朝ご飯を抜いたことでナンを2枚おかわりできる。これは僕がこのカレー屋に通って半年たって気づいた考えである。これぐらいしかカレーをより楽しむ方法が思いつかない。
何となく僕の楽しむ方法はカレーの種類となるべく多く食べることの1次元的な思考に対して、おっさんの考え方はカレーの種類、辛さのバランスを一緒に考える2次元的な思考だと思った。
カレーを食べ終わる最後までおっさんに感心しっぱなしであったが、おっさんが急に「あっ!」と声を漏らした。目線をそっちにやるとおっさんはワイシャツにカレーをこぼしていた。
僕は何でこんな賢い考えできるのに今はワイシャツなのだからこういう万が一のことを考えてカレー屋という選択を捨てなかったんだよと思った。
結局僕はこのおじさんが賢いのかそうではないのか分からないままカレー屋を出た。最近インド系の店員さんの日本語が上手くなっている気がする。
読んでくださりありがとうございました。
(2022/10/22)