Oval Design

私たちOvalは「新鮮なものをつくる」「価値あるものをつくる」をテーマにデザインをしています。グラフィックデザイン、ウェブ、展示会構成、メディアプランニング、イベント企画など。幅広い視点でデザインしています。https://oval-design.co.jp/

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マガジン

  • ビジネス歳時記「武士のおもてなし」

    その昔、戦いに明け暮れていた戦国武将ですが、季節感を取り入れた「もてなしの心」を大切にしていました。その知恵や教えを季節の歳時記に寄せて、ビジネスで戦う現代の戦士たちにご紹介していきたいと思います。

最近の記事

ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第59話「沢庵」

将軍に口福を教えた、 沢庵和尚11月の霜月(しもつき)は、その名の通り北国では霜がおり、初雪が降るほどの寒さになり、そろそろ冬支度を始める季節となります。最近は沢庵(たくあん)などの漬物は購入することが多くなりましたが、かつてはこの時期に各家庭で保存食として大量に漬け込まれていました。 11月11日は、漢数字で書くと十と一が大根を軒下につなげて下げたように並ぶことから、「沢庵の日」とされています。 漬物の中でも代表的な沢庵は、“沢庵和尚”こと江戸時代初期の禅僧である沢庵宗彭

    • ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第58話「江戸散歩」

      嘉陵が歩いた、江戸人情に触れる旅10月の神無月(かんなづき)には、各地の神様が出雲大社に一堂に集まり留守がちになることから、この異称がついたといわれています。神々も色づき始めた紅葉を愛でながら、日本の秋を旅したのかもしれません。 江戸時代、長い戦乱から泰平の世に入ると、人々は旅をする楽しみを見つけました。物見遊山で名所旧跡を訪ねたり、「講(こう)」というツアーを組んで「伊勢参り」※など信仰の旅に出たり、余暇を堪能しました。 しかし、人気の「伊勢参り」などに出掛けたのは町人

      • ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第57話「松茸狩り」

        太閤や黄門様をも虜にした、香り立つ茸 「暑さ寒さも彼岸まで」といわれるように、9月も下旬になると気候も落ち着き、秋の味覚の王者である松茸※が旬になります。 「松茸や食ふにもおしい遣るもおし」と、絶妙な一句を詠んだのは江戸時代中期の俳人、与謝蕪村。これは、蕪村が日本画家の池大雅(いけのたいが)から贈られた松茸に対する礼状の一節にしたためられていた句。初物の大きな松茸を前にして、一人占めにするのは後ろめたいけれど、さりとて客人を招いて振る舞うのも惜しいというところでしょうか。

        • ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第56話「和蝋燭」

          偲ぶ心を託した、炎の贈り物8月は、夏休みと旧盆を兼ねて帰省する方も多い季節です。 「御仏はさびしき盆とおぼすらん」(一茶)とは、火事で焼け出されて友人宅に身を寄せることになった65歳の小林一茶が、お盆に墓参りに行けない心情を吐露した一句。 墓前や仏壇の前で、亡くなった家族や先祖を供養するお盆の行事は、地域や宗派による違いはあっても、その思いは変わりません。その時に灯す蠟燭(ろうそく)は、お線香に火をつけるためだけではなく、「私たち子孫はここに居りますよ」という、道しるべみた

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        • ビジネス歳時記「武士のおもてなし」
          59本

        記事

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第55話「鰻

          グルメ武士を虜にした、鰻の蒲焼き7月に入ると、「土用の丑の日」の鰻が話題になりはじめます。この月だけに土用※があるのではありませんが、やはり暑さが堪える7月の土用は、スタミナをつける名目で「鰻の蒲焼き」を食べることが多いのが、家計調査※からもうかがわれます。 今年の「土用の丑の日」は7月24日(水)。残念ながら、現在私たちが食べている鰻のほとんどは養殖鰻ですが、鰻の稚魚のシラスウナギの漁獲量も減り、海外産に頼らざるを得ない状況です。鰻は、歴史的にも日本独自の食文化をもたらし

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第55話「鰻

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第54話「番傘」

          武士の懐を潤した、恵みの傘の花 6月の水無月に入ると、そろそろ梅雨のシーズン。街中に、さまざまな彩りの傘が咲く季節になります。童謡「あめふり」で「あめあめ ふれふれ かあさんが じゃのめで おむかえ うれしいな~」の「じゃのめ」とは、いまでは珍しくなった、竹に和紙を張った番傘※の一種の蛇の目傘のこと。雨具といえば、藁や菅を素材にした蓑や笠を使っていた下級武士や庶民には、なかなか手にすることができなかった高級品でした。 今回は、この傘のはじまりが身分の高い人たちのもてなしに使

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第54話「番傘」

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第53話「籍田」

          慈愛の心で導いた、鷹山の米づくり5月に入ると、日本各地は田植えの季節を迎えます。GWに田植えの手伝いも兼ねて帰省するという話を聞くと、やはり瑞穂の国の稲作文化が脈々と続いている歴史を改めて感じます。   ところで、米の銘柄は数多く、山形の「つや姫」もブランド米として知られていますが、同じく山形県・米沢市の「上杉籍田米(うえすぎ せきでんまい)」※はご存知でしょうか。江戸時代中期に厳しい経済状況から藩を立て直し、今でも市民に“鷹山公”と慕われる、米沢藩9代藩主の上杉鷹山(うえす

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第53話「籍田」

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第52話「春告魚」

          北前船が北国と京都を結んだ、 由縁の魚〽沖のカモメに 潮時問えば わたしゃ立つ鳥 波に聞け──おなじみの民謡「ソーラン節」で、カモメに尋ねているのは、寒流系海水魚のニシンの群れ。雪解けの春に北国に押し寄せることから、春告魚(はるつげうお)とも呼ばれています。 江戸時代半ばから、主だった蝦夷地の漁場が少しずつ広がりました。そのニシンを運ぶために、商人たちが競い合うように木造の北前船※で日本海側の寄港地を巡り、土地の商材を売り買いしながら大きな富を得たともいわれています。  

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第52話「春告魚」

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第51話「花見小袖」

          春爛漫を演出した、秀吉の「良き夢」 各地から桜の便りが届き始める3月は、花見の季節に入ります。旧暦の慶長3年(1598)3月15日には、豊臣秀吉が京都・伏見の醍醐寺(だいごじ)※で、歴史に残る絢爛豪華な「醍醐の花見」を行いました。 醍醐寺に咲き乱れる桜の花とともに、秀吉に連れ添う正室のおね※や側室、家臣、味方についた大名の妻女や息女1300人とされる女性たちが、贈られた美しい小袖※で饗宴に招かれ、秀吉は「我が世の春よ」とその情景を心ゆくまで楽しんだのでした。 「良き夢を見

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第51話「花見小袖」

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第50話「招き猫」

          猫の恩返しに救われた、第2代 彦根藩主猫の恋止むとき閏の朧月(芭蕉)───更に衣を着込むほど寒いことから「衣更着(きさらぎ)」とも記される2月ですが、その寒さをよそに猫たちにとっては熱い恋の季節。 「ニャーオ、ニャーオ」と鳴き交わす「猫の恋」は、早春の季語です。ちなみに、「ニャン」が連なる2月22日は「猫の日」だとか。2年前から国内で飼育されている猫が犬の数を上回り、巷では何度目かの猫ブーム※が起きている模様です。 「猫に小判」「猫の手でも借りたい」の諺もあり、忠犬の犬に

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第50話「招き猫」

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第49話「割粥」

          ひと碗に込められた、忖度の粥1月も終わりに近づき、年始の行事や新年会なども済み、そろそろ胃腸にも疲れが出てくるころではないでしょうか。1月は七草粥、小豆粥などの行事食が知られていますが、身体の中から温めてくれるお粥は消化もよく、胃腸をやさしく整えるのに役立つ料理です。   この粥に一家言あり、こだわりを持っていたのが豊臣秀吉です。晩年は飽食を戒め健康に気を使い、粥を食べていたという秀吉ですが、山寺でもてなされたひと碗はどのような味だったのでしょうか。今回は、この粥にまつわるお

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第49話「割粥」

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第48話「煤払い」

          一年の厄も落とした、大奥での胴上げ我が家は団で煤をはらひけり(一茶)。12月に入り、そろそろ大掃除の日程を決めなくてはと、考えている方も多いのではないでしょうか?   江戸時代も、12月は正月を目前にして一年の汚れを落とす大掃除をしました。当時は蝋燭などを多く使う暮らしだったことから「煤払い」や「煤掃き」ともいい、江戸城の「将軍家の煤払いの定日」(12月13日)に倣い、武家屋敷や町人の商家などでも、この日に多く行われました。 町家では、掃除が終わると陣頭指揮をとった家長など

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第48話「煤払い」

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第47話「蜜柑」

          武将も待ち望んだ、暮れの贈答品「下積みの蜜柑ちいさき年の暮れ」(浪化)── “こたつ蜜柑”などというように、蜜柑(みかん)は手軽に食べられる冬の果物ですが、物流が発達していなかった昔は現在のように豊富に手に入るものではなく、子どもたちはお歳暮で届く木箱などに入った贈答用蜜柑を楽しみにしていたものでした。   贈答品としての蜜柑の歴史は古く、すでに江戸時代にもありましたが、当時は武家や裕福な商家など限られた人たちの間での高級品でした。あの食通の徳川家康も蜜柑を好み、親しい大名な

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第47話「蜜柑」

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第46話「献立」

          閑所で考えた、食へのこだわり紅葉も深まり、田畑に霜も降りる11月。その異称は「霜月(しもつき)」のほかに「食物月(おしものづき)」という呼び名もあります。 それは、その年に採れた穀物や農作物などを神様に供えて感謝する新嘗祭や、地域で行われるさまざまな収穫祭などが行われる季節となるから。また、秋のおいしい味覚を身近に感じる季節になるからでもあります。   最近は “料理男子”という言葉も浸透してきましたが、単なるグルメだけではなく、自ら献立を考え、調理してもてなすことが上手な

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第46話「献立」

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第45話「席画」

          将軍を楽しませた、御用絵師の遊び心11月は学校では学芸会や文化祭が開かれ、美術館などでもさまざまな催事が行われる“美術の秋”。展示されている作品を鑑賞するだけではなく、芸術家たちが即興で行うパフォーマンスやインスタレーションなども興味深いものですが、それらは実は「席画」(せきが)※という絵師たちの芸術活動のひとつとして江戸時代初期から行われていました。 今回は、天皇や将軍の目の前で作品を描く彼らが、時には度肝を抜く演出で観客たちを楽しませたという、席画にまつわる話を集めてみ

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第45話「席画」

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第44話「温泉」

          将軍の実力を示した、温泉の力10月は、温泉旅行なども楽しい行楽の秋。その昔、江戸時代の将軍や大名たちも同じでした。中でも熱海温泉の湯に惚れこみ、子供たちを連れて長逗留し、それができない時は「熱海よいとこ日の丸たてて、御本丸へとお湯が行く」と地元に残る唄にもあるように、熱海の湯を江戸城まで“お取り寄せ”して楽しんでいたのが徳川家康です。   今でも、熱海の湯前神社※では10月初旬に湯汲み神事が行われ、湯桶で温泉を運んだ当時の様子を再現するイベントなどが行われています。今回は、こ

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第44話「温泉」