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アール・ブリュット/アウトサイダー・アートが好き

このnoteでは、アール・ブリュット(アウトサイダー・アート)と好きな作品・作家について思うこと、調べたこと、参考になりそうなことなどを書いていきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

アール・ブリュットって?

まず言葉の意味をしっかり定義しておきたいところなのですが、「アール・ブリュット」ってそもそも何なのか? 「アウトサイダー・アート」とはどう違うのか? という所が実は私自身しっかり理解できていないので、まずはそこから考えていきたいと思います。

「アール・ブリュット」も「アウトサイダー・アート」も、辞書的な定義では「正規の美術教育を受けていない作り手が独自に生み出した作品」ということになるでしょう。しかし、その定義に当てはまる作品は世の中にたくさんあり、すべてがこう呼ばれているわけではありません。また「アール・ブリュット作家」と分類されるアーティストには、美術教育を受けた方も含まれています。

「アール・ブリュット」と「アウトサイダー・アート」は本来同じ意味であったはずなのに、今日では何となく使い分けられているように感じられます。

まずは、そこから――私が「何となく」感じていることを言語化することから始めてみようと思います。

正確な定義は置いておいて、現代の日本において「アール・ブリュット」といえば、知的障害や精神疾患のある作り手による芸術作品を指すと言ってよいでしょう。本来の意味はちょっと違うのですが、しかし日本で「アール・ブリュット」と名の付く展覧会が開かれていれば、十中八九そのような作品が展示されているでしょう。

「アール・ブリュット」とはフランス語で「生の芸術」という意味です。「生」つまり「加工されていない」芸術。読み方は「きのげいじゅつ」と「なまのげいじゅつ」の2通りがあるみたいです。私はずっと「きのげいじゅつ」と読んでいたのですが、滋賀県立美術館のWebサイトには「日本語では『生(なま)の芸術』とも訳されるアール・ブリュットは」と記載されています。

一方、同じく滋賀県にある「ボーダレス・アートミュージアムNO-MA」では「直訳すると『生(き)の芸術』となるフランス語です」となっています。

どちらなんでしょうね。まぁどちらでも良いのでしょう。

アウトサイダー・アート

では「アウトサイダー・アート」とは何でしょう。

これは、英国の研究者ロジャー・カーディナルが「アール・ブリュット」の訳語として考案した言葉です。なので本来は同じものを指すはずです。

日本でも同じ意味で使われていました。2000年代までは「アウトサイダー・アート」が主流で、2010年代以降は「アール・ブリュット」が多用されているようです。

1993年に世田谷美術館で開催された展覧会は「パラレル・ヴィジョン 20世紀美術とアウトサイダー・アート」と題されていました。

また、2003年に出版された服部正さんの『アウトサイダー・アート』(光文社新書)では、アール・ブリュットという呼称の「指し示す内容はアウトサイダー・アートとほぼ同一であると考えて差し支えないだろう」としたうえで、「今日最も一般的な呼び方は、やはりアウトサイダー・アートだろう」と述べられています。

2006年頃から日本とフランスで連携事業が始まり、2008年にスイスのローザンヌ、2010年にフランスで日本のアール・ブリュット作品の展覧会が開催された頃から「アール・ブリュット」の使用が増え始めたらしい。

という経緯があるので、現在でも同じ意味で使って間違いではないはずなのですが、何となく住み分けがされているようにも感じます。私の印象ですが「アール・ブリュット」は知的障碍や精神疾患を持つ作り手による作品、「アウトサイダー・アート」はもっと幅広く、さまざまな作り手による多種多様な表現活動――モノとしての作品だけでなく、パフォーマンス等も含み「芸術作品」のカテゴリーに収まりきらない活動を表すことが多いように感じています。といっても両者の境界はあいまいだし、両方の分野で認められる作家さんも多いのですが。

「アウトサイダー」は字義的には「外部にいる人」です。「外部」とは何かという問いには「内部」の定義が必然的に問われます。従来のアール・ブリュットが美術界の「内部」に取り込まれていくにつれて「外部」の様相も変わってきたということなのかもしれません。

というわけで、「アール・ブリュット/アウトサイダー・アートって何だろう?」というところから何だか難しいわけですが、いろいろ調べて勉強しながら書いていきたいと思います。「100人いれば100通りのアール・ブリュットがある」と言う人もいるくらいなので、ならば私が101番目のアール・ブリュットについて語っても良いはずです。

私自身は「アール・ブリュット」という言葉の方が好きなので、基本的にはこちらを使いたいと思います。

そのわりに、ここのnote IDは「outsiderart」なのですが、これは「artbrut」がすでに使われていたのでこちらにした、というだけの話です。

次回は、「アール・ブリュット」「アウトサイダー・アート」という言葉について、もう少し詳しく記述してみたいと思います。

#アール・ブリュット #アウトサイダー・アート


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