Vol.1社会課題解決のための新事業創出が企業経営のテーマ
「SDGsアウトサイドイン」ビジネスゲームは、2018年5月23日にデビューしました。
SDGs×経営をテーマとしたゲームの3作目です。 1作目は2016年にリリースされた「2030 SDGs」。2作目は2017年の「SDGs de地方創生」。3作目が「SDGsアウトサイドイン」で、社会課題解決のための新事業創出を学ぶ、企業セクター向けとして開発されました。
はじめに、SDGsをテーマとした企業セクター向けのビジネスゲームが必要だと考えたかについてお話しましょう。それは元国連事務総長だったコフィー・アナンの言葉に出会ったことによります。彼は2000年に、SDGsの前身となるMDGsを作られましたが、その折、次のようなことを言っています。
「平和の維持や発展途上国への援助など、国連の日々の活動は、世界中でビジネスの機会を広げるのに役立っています。そして極めて率直に言うと、世界の経営者が持つノウハウや資源なしでは国連の行動目標の多くは実現が困難なのです。」
そして、「国連や政府セクターだけの活動では、どれだけ頑張っても今の流れは止めることができません。もし地球を持続可能なものにするとしたら、企業の方々の、つまり理想をもち、最も意思決定が迅速で、もっとも協働しうる人類が作った優れた組織である企業というものの力を借りなければ、地球環境というものは改善されない」ということを強く言っています。
2つ目に、なぜ、企業セクター向けのビジネスゲームに「SDGsアウトサイドイン」と名づけたかについてお話します。国連の公式文書SDGsの企業行動指針「SDG Compass」の文中のステップ3「目標を設定する」の「意欲度を設定する」の中に、
「リーディング企業は目標設定において『アウトサイド・イン』アプローチを取り始めている。このアプローチは、気候変動との関連で、企業が『科学に基づく』目標設定を表明する中で支持を集めているが、他の分野でも台頭しつつある。―SDGsに連動した目標設置に対する様々な『アウトサイド・イン』のアプローチは、今後持続可能性における企業のリーダーシップを規定していく一つの要因となるだろう。」と記載されています。
そして「アウトサイド・イン・アプローチ」とは、
「世界的な視点から、何が必要かについて外部から検討し、それに基づいて目標を設定することにより、企業は現状の達成度と求められる達成度のギャップを埋めていく」と、 インサイド・アウト・アプローチと対比させて説明しています。
「SDGsアウトサイドイン」ビジネスゲームは、このような背景と企業セクターの役割のもと、企業がよりパワフルに、世界をより良い方向に変えていくことの事例を疑似体験して学ぶカードゲーム部分と、その振り返りで、社会課題解決のための新事業創出手法を学ぶ強制発想マトリクスというアジャイル脳力開発スキルを加えて、ビジネスゲームとして生まれたのです。
その後、多くのサステナビリティ経営(環境価値・社会価値・経済価値)を標榜する方々が「SDGsアウトサイドイン」体験ワークショップ、「SDGsアウトサイドイン」公認ファシリテーター養成講座に参加されていますが、「今までのゲームとは格段に違う」「研修の新しいカテゴリーだ」「新事業を開発するってこういう事か!」という声々が聞こえてきたのはうれしい限りです。
■次回テーマ:「SDGsアウトサイドイン」事例―社会課題49の新事業創出
サステナビリティ・プランズマーケッター 近江美保