人間関係をしなやかにするたった一つのルール(はじめての選択理論)

この本は人間関係の解説書であり
自分自身の操縦方法の説明書
だそうです。

人間関係に悩んでない人の方が少ないと思いますので、一つの発想として、勉強すると良いかもしれません。

第一章
人間関係を決めるたったひとつの間違い

人間関係の背後には立場の異なる2つの心理学が働いている。
ひとつは「選択理論心理学」
もうひとつは「外的コントロール心理学」

外的コントロール心理学の人は
「私は相手をコントロールすることが出来る」
選択理論心理学の人は
「私は自分だけをコントロール出来る」
と信じていた。

ここで心理学と呼んでいるのは
「私たちが知らず知らずのうちに身につけている人の心や行動に対する考え方」のことだそう。

外的コントロールでは
「相手が自分の都合の良いように変わってくれないか」
「どうすればコントロール出来るか」と考える

だけど私たちは少なからず
「自分のことは自分で決めたい」
「他者から管理・強制されたくない」
と思っている。

ですので、外的コントロールの、考え方を土台にして相手に近づくと、その人は遠ざかったり、強く抵抗する。。

対して選択理論では
「人は自分の行動しかコントロール出来ない」
と、捉える理論です。

選択理論では、
「私たちは、自分で自分の行動を選んでいて、その行動には自分なりの目的がある」
「人は内側から動機づけられており、自分の願っているもの(目的)を手に入れるために行動している」と考えます。

そして
「自分が相手にしたり言ったりすることは、数ある情報のひとつに過ぎず、それに対して、どんな行動や態度を選択するのかは相手次第である」と、考えます。

選択理論を採用している人は
「あの人が文句ばっか言うから私は一日憂鬱でしょうがない」ではなく
「あの人は文句ばかりだけど、私はできることをして元気に過ごそう」と考えます。

こんなふうに考える人は
他人や状況に振り回されることが少なくなります。

選択理論では
他者に「〇〇であってほしい」と期待したとき
批判や文句に時間を費やすよりも、「自分に出来ることはなんだろう?」と考える。


行動には四つの要素がある
①行為(外から見て分かる動作や表情)
立ち上がる、走る、にらむ
②思考(頭の中で考えること、イメージ)
思い出す、
③感情、
ワクワク、達成感、喜怒哀楽
④生理反応
喉が乾く、心拍数、頭痛

著者はこれを車で例えていた。
行為と思考が前輪でハンドルでコントロール可能
感情と生理的現象はコントロール不可で前輪の進む方向へ進む

例えば「お腹が痛い」という場合
生理反応が主なものですが、
そのときお腹を抑えるという行為、
何か悪いもの食べたかな?という思考
ちょっと憂鬱という感情になる。

どこか一箇所、目立つことはあっても
四つの要素は連動していて全体的に動いていると捉える。

つまり後輪である感情と生理反応を変化させるためには、前輪の行為と思考をコントロールしなくてはならない。


「すべての行動には目的があって、その行動はその人自信が選択している」
これが選択理論の考え方

だから落ち込んだとしても
「落ち込むこともその人が選択している」
ということ。

私たちは「落ち込む」という行動をしている時
憂鬱(感情)とか身体のダルさ(生理反応)という後輪が目立つあまり、自分でコントロール出来る部分があることを忘れている。

落ち込もうとするのは簡単でしょ?
ならその逆をやれば良いと言っている。

前輪である(行為)と(思考)が変われば少しタイムラグはあるかもしれませんが、必ず(感情)と(生理反応)に変化が生じる。

私たちはある時点で嫌な気分を感じることは避けられませんが、どれくらい落ち込むという行動を続けるかについては、自分で選ぶことが出来るのです。

「私たちがハンドルを握る車の前には分かれ道があります。Aの道は憂鬱なので誰にも会わず食事もせず(行為)、自分はダメだと考える(思考)憂鬱続行ロード。
Bの道は憂鬱だけど、とりあえず誰かに連絡して一緒に食事をし(行為)、自分にも良いところはあると考える(思考)元気回復ロード」

どちらにハンドルを動かすかという選択が、後からついてくる気分や身体の調子を選ぶことになります。


ただ落ち込んじゃいけないと言ってるわけではない。
落ち込むことのメリット
①助けを求める。他人をコントロールする
人は自尊心やプライドが邪魔して人に助けを求めたりするのが苦手。
でもため息をついたり無口になっていると周りの人が心配してくれる。そして気づく「落ち込んでいると皆が優しく関わってくれる」

グラッサー博士は以下のように述べている
「2歳を過ぎた頃から、ほとんどの赤ん坊は癇癪が通用しないことを発見する。そして周囲から学習する能力と創造する能力が昨日し始め、落ち込むことを学習する」

よく考えてみると落ち込んでいる赤ちゃんはいません。
落ち込みは遺伝子に組み込まれている行動ではなく、周囲の人から学ぶものだ
と博士は説明している。

怒って泣きわめいてる子供は放っておけても
悲しそうにうつむいている子供を放っておける親はなかなかいないことを、子供は知らず知らずのうちに「この方が良さそうだ」と体感している。

②言い訳する。逃避する。
このメリットを行使している人の口癖が
「うーん頭では分かってるんだけどねー」

他者からの気分を変えるようなアドバイスにも、「やる気が湧いてこないんだよね」とか言って変化することを回避する。

「またうまくいかないんじゃないか、、」
「今度も拒否されるんじゃないか、、」
そんな恐怖心や不安な状態を避けるには、落ち込んでいる自分でいる方が効果的です。

③怒りを抑える
願っていること(期待)が叶えられないとき、
私たちが選びやすい行動は(怒り)と(落ち込み)の2つ

博士は「落ち込みとは、怒りを抑えるために人間の考えついた最も強力な方法のひとつである」と言っている
落ち込むことで自分を守っている状態とも言える

○怒りの始まりとセルフコントロール

イラついたりムカついたりするのは
「自分のしてほしいことを相手がしてくれないとき」
「自分のしたくないことを、相手がさせようとしているとき」の2つある

著者は「怒りは生まれながらに持っている唯一の感情であり、他の感情は全て後天的に学習されるものである」

その理由は動物の中で私たち人間が最も未成熟な状態で産まれてくることと関係している。
未成熟=誰かの手を借りないと生きていけない

例えばウミガメは卵から孵ってすぐ海に向かって動き出す。
馬は生まれて20分で歩くようになる。
生まれる以前から自分で生きていけるようプログラムされている。

それに比べて人間の赤ちゃんは泣くことしか出来ない。
泣くと言う行動は、怒りの表現方法のひとつ。

泣くということを通して、
自分の願っていることと今得ている状態にギャップがあることを周囲に知らせ、誰かの手を借りて命を永らえるのです。

赤ちゃんの場合、親をコントロールしようとは思っていませんが、泣くことによって周りの人の協力を得て空腹や居心地の悪さなどの不快感を取り除くことに成功する。

これは「誰かが自分のために動いてくれる」ことで「自分の気分が良くなる」という経験になる。

だから人は、
「自分の気分が悪いのは、相手が自分の願っていることをしてくれないから」という思考になりやすい。

生まれる時から持っている怒りという感情とどんなふうに向き合っていくかを学ぶことは必要不可欠であり、そのために選択理論の考え方は大いに役立つ知恵だ。


「怒り」も行動なので、
先程の四つの要素を使っている。
自分の意思でコントロール可能だ。


○動機づけ
人は基本的欲求に動機づけられて行動している

基本的欲求とは、
「私たちが生まれてから死ぬまで、とり続ける行動の全てを動機づけるもの」のこと。

基本的欲求の5種類

A愛・所属の欲求
愛し愛される関係を築きたい、誰かと繋がっていたいという欲求
人は孤独だと気分が悪いものです。
友達や仲間が欲しいと思うのもこの欲求が関係しています

B力・価値の欲求
自分には力がある、価値ある存在だと思いたいタイプ
誰かに馬鹿にされたり軽んじられたりするのは気分が悪いものです。負けると悔しいと思うことや誰かに認められて嬉しいと感じることはこの欲求に関係しています。

c自由の欲求
自分の思うように自分で決めたいと思う欲求
誰かの言いなりでなく自分で決めること、自分でコントロール出来ることに喜びを感じるのは、この欲求が関係しています。

D楽しみの欲求
新しいことをやってみたい、知りたい、学びたいという欲求。
変化がないことを、同じことを繰り返すだけの退屈な毎日は気分の良いものではありません。
知らないことに対する好奇心や新しいことを学ぶ喜びはこの欲求が関係しています。

E生存の欲求
生命維持装置のような役割で、生き永らえようとする欲求です。
食べたり飲んだり眠ったり、また性欲に関することも関係しています。

欲求の強弱は遺伝により決まる

テストがあり、自分の基本的欲求の強弱が分かるものが載っていました。


○上質世界
選択理論では私たちの脳の中に自分にとって気分の良いものや心地よいものをストックしておく特別な場所があると考えます。

私たちは自分の基本的欲求を満たす人やモノや出来事や考え方に出会い、その瞬間、それらをパシャッと写真を撮るようにして特別な場所に保管します。

「自分にとって気分の良いイメージ写真」を貼っておく、アルバムのようなところを(上質世界)と呼んでいます。

生まれた時は白紙の状態の上質世界は、成長と共に作り直されていきます。

例えば以下のようなものがストックされていきます。

・自分の愛する人、所属感を感じるチームや組織
・自分の願っている評価や自己価値を感じられる状態
・自分が自由を感じられる状況
・自分の興味や関心のあること、ワクワクすること
・自分が安心や安全を得られる状況

博士は上質世界について
私たちの人生で最も重要な部分
と言っています。

私たちは「上質世界に入っているものを得ようと努力する」し、「この上質世界にたいて関係のないモノには関心を払わない」とさえ言われています。

上質世界に貼られる写真のことを
通常(願望)と呼んでいます。

その願望は「新規保存」と「上書き保存」と「消去」がある。

例えば
初めて食べたトロピカルフルーツの味が素晴らしくて忘れられない(新規保存)
元々マンゴーが好きだったけど
〇〇産のマンゴー食べたらもう他のマンゴーに見向きもしなくなった(上書き保存)
以前は大切にしてたけど次第に注目しなくなり、やがて剥がれ落ちてしまう(消去)

例えば夫婦関係
以前はお互いに上質世界のど真ん中に相手のイメージ写真を貼っていたはず。(他の誰よりも自分の欲求を満たしてくれる存在だから)

ある時点では「自分にとって何より大切だ」と思ったものであっても、もうこの写真では自分の欲求は満たせないと感じ、他にもっと良い写真があるらしい…と学んだ時には私たちはその写真を剥がす可能性もある(離婚)

欲求は毎日満たす必要があり、例えば
家庭でも職場でも誰にも役立ってない空しさや無力感を感じていれば、それが倫理に反していると分かっていても「少しでも自分を頼って甘えてくれる人」と親密な関係に発展することもある。

一般的にはそのような事態を
「ストレスが溜まっていたから…」
といって片付けがちですが、基本的欲求と上質世界を理解すれば予防も改善もできる。

愛や力や自由や楽しみに関する欲求も、毎日適切に満たす必要があり、満たせていないことを無視して放っておいてはならない。

選択理論では、「欲求」というときには「基本的欲求」のことを。
「願望」というときには「上質世界」のことを指します。

それぞれの違いについて。
「基本的欲求」
・先天的(遺伝子の指示であって生まれながらにして備わっている)
・誰にでもある(誰でも5種類の欲求を持っている)
・変化しない(それぞれの欲求の強さは一生変わらない)

「願望」
・後天的(生まれてから学習する)
・自分オリジナル(人によって様々、まったく同じ人はいない)
・変化する(アルバム写真のように貼り替えが可能)

という違いがある。


○リアリティセラピー
選択理論を土台にしたカウンセリング手法をリアリティセラピーと呼ぶ

クライアントの上質世界に注目します。
人は上質世界に入っているイメージ写真を得ようと行動するからです。

カウンセリングでは、そのイメージ写真は具体的であるのか、現実的であるのか、さらに誰かの欲求充足を邪魔するものではないのか、ということを吟味しながら共に考えます。

もしこれまで目指してきた願望がどんなに頑張っても手に入らないものだとしたら、またはそれを目指していると他の欲求が満たせないような場合は、目的地を変更する必要がある。

願望が変われば目指す場所は変わり、目指す場所がハッキリすれば、ハンドルの向き(行為と思考)もコントロールしやすくなります。

私たちはいくつものイメージ写真が貼られたアルバムの中から今目指すべき願望を選ぶことができます。

たくさんある写真の中から今の自分に必要なものを選び出す作業こそ、大切なこと。
自分の上質世界にはどんな写真が貼ってあるのかを点検すること、そしてそれらのイメージ写真にどんな優先順位をつけるのかということは、自分の人生を形作る重要な選択なのです。


○快適な人間関係を築くための5つのレッスン

人が不幸を感じるときは次のどれかの状態
・あなたがして欲しいことを相手がしてくれない
・誰かがあなたにしたくないことをさせようとしている
・その両方
・自分のしたくないことを自分にさせようとしている

いずれも他の誰かをコントロールしようとしている状態です。

①結果を統制しない形で要望を伝えることは外的コントロールではない
・自分の期待と結果が異なった時に罰やペナルティがあるとすれば、こちらの正義によって相手を統制しようとしていると言える。

②期待はリクエストとして伝える
・こちらの期待は伝えるけど、その答えは相手側が決定して構わないというのがルール

③リクエストを実行してもらうには、相手の上質世界に入る
・例えば親友、慕ってくれる後輩、愛する存在など。

・上質世界に一生懸命に取り組む人の魅力
自分の上質世界にある大好きなものに対して、自分自身が一生懸命に取り組み、挫けることなく瞳をキラキラさせてハンドルを向かわせているような状態であると、その姿を見ている人の上質世界に入りやすい

④身につけたい七つの習慣で関わる
相手の上質世界に居続けるには、相手に自分と関わっていると気分が良いと思ってもらう必要がある
○耳を傾ける
○励ます
○尊敬する
○受け入れる
○違いを交渉、調整、話し合う。
〇信頼する
○支援する

○相手から自分のしたくないことを頼まれたとき、「外的コントロールを使われた」と考えるのではなく、「相手が自分にリクエストしてきた」と受け取れば、「選択権は自分にある」と考えることが出来る。

⑤相手の(上質世界)に関心を寄せる。
気が合う人を見つけるためには、自分の上質世界に入っているものを分かち合うことが大切。

「こだわりがない」「なんでも大丈夫」
いつもこんな風に答えてる人は一件、柔軟性がありそうですが、本当に気が合う人を見つけることは難しいかもしれません。

★何かについてこだわりを持つということは、本当に気が合う人を見つけるために役立つ要素になります。

⑥相手の(上質世界)を否定してはいけない。

⑦愚痴や不満で大切な関係を壊さない。
何故多くの人が「愚痴や不満は吐き出した方が良いよ」と言うのか?
「そりゃそうだよね」「あなたが正しい」
と自分の苛立ちを認めてもらうことで(力・価値の欲求)が満たされたり、
「愚痴を受け止めてくれる人間関係が私にはあるんだ」という(愛・所属の欲求)が満たされることで、我慢して溜め込むより良い気分になれる、と感じるためだ。


選択理論的な生き方とは、
自分で自分の幸せに責任を持って過ごすこと。

他者を支配しようとせず、(コントロールせず)他者から翻弄されず(コントロールされず)自分で自分の欲求を満たすことに責任を持って取り組んでいる人。そういう人は心地良い人だそうです。

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