公園に込められた先人の想い、これからの公共空間
いま公園のリノベーションも盛り上がってるところですが、
「公園の成り立ちや、なぜ再生が必要になってきたのか」を学びましたので、こちらも紹介できればと。
はじまりは
1873年(明治6年)
国の御触れ「太政官布達」によって「公園」という概念が生まれました。
人口が多い都市で、国が管理してない場所、人が集まるいい感じの場所は、地方が大蔵省に届け出てくれたら「公園」にするよー
ということで動いたのは東京。
有名どころでは上野公園が同年に公園に指定されています。当時は公園の運営やルールも探りつつだったようです。
都市化と公園の関係
大きな流れで追っていくと
1888年(明治21年)〜「東京市区改正条例」
都市計画法の前身になるこの条例で、
道路、河川、公園など整備が進んでいきます。
1939年(昭和14年)〜「東京緑化計画」
膨張する都市を抑えるため、当時の東京23区の外側を緑にしちゃおう(グリーンベルト)という壮大な計画によって、緑化を目指してました。
ところが戦争になり、目的は火災の延焼を防ぐための緑地(防空緑地)として、その面積を広げることに。
1947年(昭和22年)〜「農地解放」
GHQの指示のもと、国が地主から安く農地を買い上げて、小作人に売り払う「農地解放」が行われます。
これで農地は各個人が所有する土地になるのですが、後に農業や宅地化に大きな影響を与えることになります。
そして結局、防空緑地として進めていた緑は農地としても見做され、多くが個人へ払い下げになってグリーンベルト計画は消滅します。
1968年(昭和43年)〜「新都市計画法」
さらに都市が拡大していくなかで、
市街化区域(開発を進める区域)と市街化調整区域(開発を制限する区域)ができて、無秩序な開発を抑える動きが生まれます。
1972年(昭和47年)〜
都市化が急激に進み、生活環境の悪化などから、公園を求める声が多くなります。結果、都市公園をさらに増やしていく方向に舵が取られます。
翌年には緑地保全地区など創設されて、緑を守ろうとする動きも。
ここから首都圏は、都市開発が進んで緑が減少していくのですが、国や地方公共団体が指定する「都市公園」は一気に増えていきます。
行政はいつまで管理できるか
国交省によると、都市公園はどんどん増えてます。
一方で公園にかけられる維持費は減ってきています。
さらに、人口流出や流入の多い都市はコミュニケーション不足もあり、顔の見えないことも多い。
干渉されにくい反面、公園の使い方で苦情もたくさん寄せられます。
結果、公園は増えるけど管理費が少なくなる。「これしちゃダメ」というルールも増える。使わなくなる。という本末転倒な事態に。
もう少しみんなが気持ちよく使える公園があっていいはずですよね。
先人から学ぶ公園管理
ここで少し時代を遡りますが、明治には国から公園の管理費は出ませんでした。あくまで地方は、自分たちで管理しなきゃいけなかった。
そのため当時、東京市は
「料亭なんかを公園に入れて、その上がりを公園の管理に使って良い?」
と大蔵省に掛け合ってOKもらいます。
実際、昭和13年頃の東京市は、料亭やら動物園やらの上がりで公園を管理する人の給料まで払い、完全に自主管理をしていたそうです。
そんな流れから垣間見えますが、「公園」って道路とか河川と比べて、実はルールが穏やかです。もちろんダメなことはあるけど、ホントは色々できちゃう。
これからの選択肢
もう少し公園のあり方を柔軟に考えていけないかという昨今。
実は平成22年には国交省が成長戦略に行政財産の商業利用を掲げています。
もう有名どころですが、商業施設が入ることで公園の魅力を高めたり、維持管理費を捻出している事例紹介です。
◆池袋西口公園
戦後闇市があったり、ホームレスが集まったり管理できてない公園だったのですが、東京芸術劇場に隣接する立地から、平成2年にリニューアル。
オシャレなカフェも併設されています。
◆富山環水公園
この都市公園には、世界一美しいスタバと言われるようになった「スターバックス富山環水公園店」が、その景観をさらに美しいものにしています。
◆上野恩賜公園
驚いたのは、上野駅近くにある「ueno3153」「上野バンブーガーデン」「さくらテラス」。がっつり商業施設ですが、実は都市公園の一部。
東京都が、便益施設として都市公園法の設置許可を出した合法施設です。
こんなの建てていいんだ。という感じもしますが、通常こうした便益施設は、公園の面積の建ぺい率2%までですが、特例で10%上乗せできることがあります。
◆INN THE PARK(旧沼津市立少年自然の家)
沼津市で開業された「泊まれる公園」
この浮いてるテントも公園に設置されてますが、きちんと許可とれてます。
建物の雨漏りや電気設備、水回りの工事は沼津市が改修しましたが、建物のリノベーションなどは全て出資や融資により民間で行われました。
まとめ
もちろん何でもありではないのだけど、行政も民間も前向きにもっと楽しく公園を活用できないか、考えていく段階にあると思います。
本来まちの公園は「私たちの公園」みんなが気持ちよく使うためにある。
自治体はルール改正や自由度の高い公募を、民間や市民は自分たちも一緒に公園をつくっていこうという意識を、お互いが前向きな気持ちを持てたとき、公園のポテンシャルは最大限に発揮できるのだと思います。
住んでいる身近な公園をもう一度、意識していきたいと思います!
本日もありがとうございました!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?