思い出と同じ今
生きている人も死んでいる人も
ぼくにとっては変わりがない
ぼくの大切にしていることばを教えてくれたのは
図書室の「あいうえお」順の墓碑銘だったから
遠い思い出は友だちの顔ではなくて背表紙の色彩と名前だ
小さな図書室に何文字のことばが読まれるのを待っているのか
生きている人より死んでいる人の数の方が多いのはよいことなのか悪いことなのか
保健室には隠れる場所はくすべてが知られていた
小さな図書室には手のつけられていない未踏の地があった
独りで未踏の地を行くしかなかった
そして今も独りで