河童に夢や希望はあるのか疑問を持ったなら直接聞きに行くのが正解かも

河童の棲みかは河岸近くに集中していた。変わったのは行動範囲と移動手段で、川から自転車で最寄り駅まで行き、電車で都心部にやって来ている。
毎週レンタルルームを借りて10人程で打ち合わせをしている。

参加者が代わることはなく各地の指導者の会議を行っているようだ。

河童の能力が解り始めると人々の関心は薄れていった。
人間に対しては老若男女問わず常に謙虚であった。近隣住民とトラブルを起こすことはなく過ごしていた。
食料についてはまだ不明の点が多い。川魚を呑み込んでいる姿は各地で目撃されておりコンビニで商品を吟味していることもあった。

人に敵意を持っていたり危害を加えることはなかった。知能も小学生並みでは警戒の必要もなく、なんとなく変わった河童たちが遠慮がちに共同する形が安定感を持ち始めていた。

しかし毎週集まる河童の10人会議は継続されていた。
指導者層であるのだろうから一般の河童よりは秀でているのかもしれないが人々の関心は薄れていく。
河童に対する注目度が薄れていくにつれ杏五郎丸は河童に対する好奇心を燃え上がらせていた。

自称ジャーナリストの五郎丸は取材を申し込むことを決意した。