沈黙に吠える繊細な野良犬

はっきりと観る

深度を超えて本質に辿り着く

何かを見極めるには

何かを犠牲にする

観ないもの 

視界から外すモノ 

謳歌する生涯と
懊悩する生涯は

ふたつにひとつ

祝杯をあげることと
反芻する臓腑の持ち主は両立しない

彼奴らとぼくの視覚は

全く違うモノを見ている

羨ましくて嫉妬して絶叫しても

ぼくはぼくと

偽りの自己肯定は無限地獄の万華鏡

絶対的に届かない声

奴らの聴覚に犬笛は聴こえない

ならばぼくは犬笛を吹く

誰かに届くと信じている

ぼくらを苦しめる奴らの価値観を

消尽させるために

春の生暖かい空気に邪魔はさせない