確率論における確率と主観確率と客観確率
そもそも確率とは
そもそも確率とはなんであろうか
舟木[2004]によれば
これだと少しふわっとしているので、数学的な定義でいえば
標本空間の部分集合にある事象$${E}$$に対し、コルモゴロフの公理を満たす確率測度$${P}$$の$${E}$$における値 $${P(E)}$$を、事象$${(E)}$$の確率という
知らない単語たちは確率論における確率空間の要素なので
確率空間について定義する
確率空間
確率空間は、確率論の基礎となる3つの要素で構成される
標本空間 $${(\Omega)}$$:
すべての可能な結果(基本事象)の集合
例:コイン投げの標本空間 $${(\Omega = {\text{表}, \text{裏}})}$$
事象集合 $${(\mathcal{F})}$$:
($${\Omega}$$) の部分集合の集合であり、σ-algebraという
事象は、標本空間の部分集合として定義される
例:コイン投げの場合、$${(\mathcal{F} = {\emptyset, {\text{表}}, {\text{裏}}, {\text{表}, \text{裏}}})}$$
確率測度 (P):
事象集合$${(\mathcal{F})}$$ の各事象に対して、非負の実数値を割り当てる関数
コルモゴロフの公理として、非負性、全確率の法則、可算加法性を満たす
また、コルモゴロフの公理による確率測度の定義は以下である
非負性: 任意の事象 $${( A \in \mathcal{F} )}$$ について$${( P(A) \geq 0 )}$$
全確率の法則: 標本空間全体について$${( P(\Omega) = 1 )}$$
可算加法性: 互いに排反な事象 $${( A_1, A_2, \ldots \in \mathcal{F} ) }$$について、$${ [ P\left(\bigcup_{i=1}^{\infty} A_i\right) = \sum_{i=1}^{\infty} P(A_i)]}$$
σ-algebraと確率の具体例
コイン投げの例を考える
標本空間 $${(\Omega)}$$ は次のように定義される
$$
[ \Omega = {\text{表}, \text{裏}} ]
$$
この場合、最も単純なσ-代数 $${(\mathcal{F}) }$$は次のようになる
$$
[\mathcal{F} = {\emptyset, {\text{表}}, {\text{裏}}, {\text{表}\text{裏}}} ]
$$
ここで、$${(\mathcal{F})}$$に含まれる各事象に対して確率測度 $${(P)}$$ を定義する
例えば、公平なコインの場合は
$$
[ P({\text{表}}) = 0.5, \quad P({\text{裏}}) = 0.5, \quad P(\emptyset) = 0, \quad P({\text{表} \text{裏}}) = 1 ]
$$
※ $${P({\text{表} \text{裏}})}$$は表か裏いずれか出る確率
この枠組みに基づいて、確率論の基本的な概念や定理が構築され確率が定義される
それではここで定義した確率の解釈における主要な二つの枠組みである
主観確率と客観確率について解説していく
主観確率
特徴: 主観確率は個人の信念や判断に基づいて確率を評価
用途: 特にベイズ統計学において重要です。新しい情報を得るたびに確率を更新するベイズの定理を使う
例: 天気予報士が、明日の降水確率を70%とする場合、その確率は過去の経験や気象モデルに基づく主観的な判断となる
客観確率
特徴: 客観確率は、実験や観察に基づいて確率を評価します。頻度主義的なアプローチが代表的
用途: 科学的な実験や調査において、繰り返し試行の結果に基づく確率の計算に用いられる
例: 公平なコインを投げたときに表が出る確率は50%とする場合、この確率は長期的な試行の結果に基づく
参考文献
https://web.econ.keio.ac.jp/staff/tose/cours/2005/prob/dec08.pdf