よくわかるヤコビアンと確率変数の変数変換
この記事の目的
「統計検定準1級対応 統計学実践ワークブック(以下ワークブック)」4章変数変換にでてくる2つの独立な確率変数$${X,Y}$$の線型結合$${Z = aX + bY}$$の確率分布
$$
f_z(z) = \int_{-\infty}^{\infty} \frac{1}{|a|} f_x(\frac{z}{a} - \frac{bw}{a}) f_y(w)dw\\
{}\\
where Z = aX + bY, W = Y
$$
を証明する
確率分布の変数変換
$${X,Y → Z,W \\ where Z = aX + bY, W = Y}$$ の変換は
同時確率分布とヤコビアンを用いて
$$
f_x(x)f_y(y) = f_z(z) f_w(w) |J|\\
$$
ただし
$$
\begin{vmatrix}
\frac{\partial Z}{\partial X} & \frac{\partial Z}{\partial Y} \\{}\\
\frac{\partial W}{\partial X} & \frac{\partial W}{\partial Y}
\end{vmatrix}
$$
$$
= a (= |J|)
$$
と表すことができる
分子に変換後の変数、分子に変換前の変数があり
$$
f_y(y) = f_x(x)\frac{\partial x}{\partial y}\\
{}\\
→ f_y(y)dy = f_x(x)dx
$$
の2変数版と考えるとわかりやすく、
これは確率要素(微小区間の確率)と呼ばれる
では、ヤコビアンとは一体なんなのか深掘りしていく
2次元ヤコビアンは微小面積の変換前と変換後の面積比(Scale factor)
例として半径3の円を極座標変換した場合を考えよう
極座標変換とは
円の$${x,y}$$を
半径と角度の$${r, \theta}$$
に変換することである
$${r}$$の範囲は円半径の範囲なので0から3
$${\theta}$$の半径は円が取りうる角度の範囲なので0から2 $${\pi}$$
これを図に表すと下図のようになる
ここで微小面積を白線で表すと変換した前と後で
面積の値が変わっていることに気がつくだろうか
例えば左の長方形の微小面積は一定だが、
右の円の微小面積は中心部が小さく、外側が大きい
この微小面積の変換前と変換後の面積比(Scale factor)を表したのが
ヤコビアンである!
ヤコビアンを使えば上の例$${r,\theta → x,y}$$だと
$$
dxdy = |J| drd\theta
$$
とい微小区間の面積の等式ができる
このときのヤコビアンは下記で求めることができる
$$
\begin{vmatrix}
\frac{\partial x}{\partial r} & \frac{\partial x}{\partial \theta} \\{}\\
\frac{\partial y}{\partial r} & \frac{\partial y}{\partial \theta}
\end{vmatrix}
$$
確率分布の変換→微小区間の確率の等式に微小区間の面積(ヤコビアン)を代入
$${X,Y → Z,W where Z = aX + bY, W = Y}$$ の変換は
同時確率分布とヤコビアンを用いて
$$
f_x(x)f_y(y) = f_z(z) f_w(w) |J|\\
$$
ただし
$$
\begin{vmatrix}
\frac{\partial Z}{\partial X} & \frac{\partial Z}{\partial Y} \\{}\\
\frac{\partial W}{\partial X} & \frac{\partial W}{\partial Y}
\end{vmatrix}
$$
$$
= a (= |J|)
$$
となったのだった
これを両辺$${w}$$について積分すると$${\int_{-\infty}^{\infty} f_w(w)dw = 1}$$に注意して
$$
\int_{-\infty}^{\infty} f_x(x)f_y(y) \frac{1}{|J|}dw = f_z(z)
$$
$${(x,y) = (\frac{z}{a} - \frac{bw}{a},w)}$$を代入すると
$$
f_z(z) = \int_{-\infty}^{\infty} \frac{1}{|a|} f_x(\frac{z}{a} - \frac{bw}{a}) f_y(w)dw
$$
が証明された