「自分らしく」ぎらい
人はなぜ「自分らしく生きたい」と思うのか、
僕にはよく分からない。
出来る限り普通に生きていきたい。
まあ、個人主義のパラダイムにあっては、
こういう思想が潮流を為すのは必然なのだろう。
「自分らしく」生きて、良いことってなんだろう?
確かに、自分の本然に従って生きるのは楽だし、
「自分らしさ」が固有の価値になるのかもしれない。
だが、総じて社会は「普通」を基準として構築されるのだから、普通である方が生きやすいのだろうし、
大いに人と共感を抱く質の方が、精神的に安定しそうなものである。
では、普通に生きればいいじゃないか、という話だが、
嘗て、人の行動を真似てみたり、服装を揃えてみたりしたのだが、
どうにも、居付きの悪い心地になるのだった。
結局、僕には「普通」でいるのは難しいのだった。
大体、「自分らしさ」にしても「普通」にしても、
そんなもんは、
見つけようと探せば、ないし、
見つけようと探さなければ、あるのである。
しかして、
「普通」であろうと時代の潮流に乗ろうとするならば、
「自分らしくありたい」と思って生きるような人間であらねばならない。
それが、個人主義時代のスタンダードなアイデンティティなのであるから。
畢竟、そこが一番難しい。
「自分らしく」あろうとすれば「普通」だし、
「普通」であろうとすれば、その人の「らしさ」になるのである。
やはり、自分本位で自分の生き方を規定するのは、相当難儀なことに思われる。
然らば、無為自然に運命を委ねるのもよかろうかと感じる。
【日日是考日 2020/11/06 #024 】
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