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早朝に散歩する。少し止まって我を思う日もある
早朝の静かな時間に勇気を出して散歩をしてみた。普段は寝坊してしまうことが多く、朝の空気を意識的に感じることは少ないが、今日は少し違った。普段の忙しさに追われ、気づけば「早朝に外に出て歩いてみよう」という発想自体がなかったことに気づき、心の中で何か新しい一歩を踏み出したいという気持ちが芽生えていた。
朝の冷え込みは予想以上に肌に染みた。風も冷たく、最初はすぐに帰りたくなったほどだ。身体が温まる前に風が肌を刺す感覚があり、歩くことが少し苦痛に感じられた。それでも、歩き続けているうちに気づいたことがあった。空気が非常に澄んでおり、呼吸するたびに新鮮な気分になれたのだ。都市の喧騒とは異なり、早朝の時間帯はまだ車の数も少なく、街の静けさを感じることができた。
その静けさの中で、ふと目を上げると、空が徐々に明るくなり、燃えるような朝日が昇ってきていた。普段は寝ている時間帯に、こんな美しい光景を目にできることが少ないことに気づき、改めてこの体験が貴重であることを実感した。太陽の光が街の建物や樹木に反射し、普段は気づかないような美しさが浮かび上がっていることに驚き、感動すら覚えた。
冬という季節も影響しているのだろうか、外を歩いている人はほとんどおらず、町の中には活動している生き物も少ない。たまに見かけるのは、寒さに耐えながら歩いている少数の人々や、まだ眠っている猫たちくらいだ。そうした光景が逆に不思議な静けさを作り、少し孤独を感じさせる。普段は賑やかな町も、早朝の時間帯は誰もいないかのように感じられ、どこか寂しい気持ちが湧いてきた。しかし、この孤独感もまた、ひとときの贅沢な時間であることに気づく。静寂に包まれた町並みの中で、自分と向き合う貴重なひとときだった。
歩きながら、あらためて町の美しさに気づくことができた。普段は忙しく、何も気にせずに歩き過ぎてしまっている景色にも、美しさや魅力が隠れていることを発見できた。例えば、普段はただ通り過ぎるだけの公園の木々や、古い建物の壁に刻まれた歴史的な痕跡、時折見かける花々や小道の先に広がる風景に、新たな発見があった。自分が住んでいる場所にもこんなにも美しい場所があるということを再認識し、その景色に感謝の気持ちが湧いてきた。
歩き続けるうちに、身体が徐々に温まり、冷たい空気に覆われていた肌が次第に心地よく感じるようになった。最初は寒さがつらかったものの、体内から熱を感じ始め、少しずつ歩くことが心地よくなっていった。歩くことで血が巡り、頭もすっきりしてきた。身体が活動を始めると同時に、自然と心もリラックスしていくのを感じる。気づけば、少し疲れた感覚がありながらも、心地よい疲れのようなものを感じていた。
時間の流れも普段のように気にせず歩き続けていると、気がついたら1時間以上経過していた。時計を持たず、ただただ歩いていたので、時間の感覚が曖昧になっていたのだ。普段の生活では、時間に追われることが多く、こうして何も気にせずに歩く時間を持つことが少ない。次回は、時間を気にして、余裕を持った散歩を心がけたいと思った。無計画で歩くのも面白いが、次回はもう少し準備をして、目的地を決めてから散歩してみようと思う。
早朝の散歩を終えて帰路につく頃には、心がすっきりとし、普段の生活の中では感じられなかったような、静かな喜びを感じていた。歩くことは、身体に良いだけでなく、心にも良い影響を与えることを改めて実感した。次回、また早朝に散歩をする機会があれば、今度はもっと計画的に歩きながら、町の景色や周りの変化をじっくり観察したい。
そして、少しでも多くの美しい瞬間を見逃さないようにしたいと思う。
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