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新年も、Fitbitに踊らされ

 調速機(ガバナー)が好きだ。特に蒸気機関などに付いている、遠心力で出力調整をする古典的なタイプ。

 エンジンの回転が速まると、連動して回転する錘(おもり)は遠心力で外に広がり、バルブを閉じて速度を減じる。反対に速度が減じると錘は元の位置に下りていきバルブが開く。
 緻密な調整は効かず、ある程度回転数には幅が出来てしまうが、19世紀頃ならこれで用が足りたのだろう。
 この機構が働いている動画を視聴したことがある。むき出しの調速機は、呼吸をするかのように、緩急を付けながら健気にその職務を全うしている。実験用の小型エンジンでは、目にも留まらぬ速さのため分かりにくいが。

 ともかく、私はこの鷹揚とした機械が好きだ。急かされすぎず、怠けすぎす、ちょうどよい塩梅。機械的な動きでありながら、そこにはこれが人間の刻むべきリズムなのではないかと感じるほどの趣きがある。

 時代は下り、世はコンピュータの頃。今、私は自身の手首に着けているフィットネストラッカーがお気に入りだ。
 スマートウォッチの廉価版のように見えるトラッカーだが、心拍から歩数、睡眠レベル、ストレス値まで計測してくれるスグレモノだ。

 蒸気機関の調速機よりもゆらゆらと調子が浮き沈みする私にとって、このトラッカーは良い調速機だ。
 まず嘘をつかない。
 睡眠時間はさることながら、睡眠レベルから算出される一日のエナジーレベル(元気の残量)は中々正確なのだ。風邪を引けば地を這いずるような数値になり、ゆっくり眠れた日は運動をするのに最適な数値を弾き出す。体感とかなり近い数値であることが多く、指標として重宝している。
 心拍変動という、ストレス値が低いときに上がるグラフも、特に跳ね上がった時はあまりに調子がよく朝からランニングをしてしまったほどだ。

 そして優しい。
 体力を消耗した日や、体調の悪い日は運動の目標を下げたり、休息やマインドフルネスを提案してくる。復調が見られればゆっくりと再開を促してくれる。

 さらに気が利く。
 歩いたりするなど、心拍数や動きの増加を検知すると、自動的に計測を開始し、動きが少なくなればバイブレーションで計測終了をしてよいか確認してくれる。
 また、これらの機能をフル活用するプレミアムプランには年額で6000円程度かかるのだが、購入時には無料で半年分を付与してくれる。おそらく私は期限後も利用を続けるだろう。

 まだ新しくなる。
 fitbit端末としてはシリーズが終了し、Googleのスマートウォッチに吸収されていくようだが、先月から新機能が追加されるなど、アップデートは継続されている。
 公式マニュアルでは未だ十数種類程度だったサポート可能なフィットネス種目も今では40種近い。早くマニュアルをアプデしてな?

 もはや宣伝記事レベルの絶賛ぶり。
 1銭も貰ってはいないが、お陰で5キロ減ったので個人的にはこれくらい書いてもいいはずだ。


 ところで、先ほども触れた新機能だが、これが中々嬉しい。
 今まではエナジーレベルの指標で「今日は運動してもOK」くらいだったのだが、新たに有酸素運動に絞った指標が追加された。「今日は◯分〜◯◯分の有酸素運動をしましょう」といった具合だ。
 闇雲に効果があるか分からないままに運動をするより遥かに心理的に助かる。
 例えば疲労が見られる日は控えめに設定してくれる。ここ数日は実際ぐったりしていたので優しさが身に沁みた。

20分以内で良いらしい
しっかりトレーニングは足りている

 今日も相変わらず不調気味だが、日数も経ったしトレーニングレベルは改善寄りだったのでやや負荷の高いものになりそうだ。


最低65分!!!???
急激な「トレーニング不足」

 え、何?どしたん?
 昨日の今日でサボり認定され、怒られが発生した。ヒステリックすぎる。
 ゆっくりしようねと言ってくれたのは幻想だった……???話聞こか???

 前言撤回だ。
 機械は嘘をつくし、優しくないし、気が利かない。
 男は黙ってポケットピカチュウ。
 男は黙ってポケットピカチュウ。



 あぁ、明日は90分歩かねば……

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