全てを愛しみたい。

大学四年生。学生最後の夏。

正確には今の私は大学五年生である。昨年度は大学を休学しており、勉強とアルバイトと飲み会で多忙な一年を送った。元々は目指していた将来があったのだが、諸事情によりあと四年間学生でいなければ目指している形では社会に出れないという状況に置かれ、やむなく就活を始めた。
そう大きくは感じないかもしれないが、私の人生における大きな転換であり、初めての挫折経験である。

因みに、この文章を書くことで誰かに伝えたい想いなどはなく(たかが学生の身分でそんなことをするなど烏滸がましいので)、強いて言うなら2023年の夏を目前にした大学生時代の私の想いと状況を、何となく残してみたい、と思った瞬間にnoteに登録をしたまでだ。「思い立ったが吉日」とは先々まで深く考えず勢いで行動する私をいつも支えてくれる。

大学生になったこと

私は大学に入り、心理学を学び始めた。きっかけは単純で、高校生の頃好きだった人が心を病んだことに始まる。
当時の私は部活動で全国1位になるという経験をし、気持ちとしては浮かれていた気がする。大学受験のためには全く勉強などせず、推薦で受かるだろうという考えしか持たなかった。
唯一オープンキャンパスへ行っており、その雰囲気に憧れていた大学を何となく目指していたのだが、何学科に入ればいいかが決まらない。
当時は国連などで働くことに憧れており、何か技術がつく学科ならよいだろうかなどとぼんやり考えていた。なんと高三の9月のことである。

私は、「やりたいこと」ではないことをやることが嫌いである。意欲が湧かない。なぜみんな明確でない目標に向かって頑張れるのだろうか。不思議で仕方がない。
更に言えば「自分一人のやりたいこと」だけのために動くことにも意欲が湧かず、なにか求められたことを完璧にこなす事が好きなのだ。自分より他人。そう考え始めたのは小学生の頃だったと思う。その方が心地が良かったのだ。

つまり何が言いたいかと言うと、自分の人生のために行う進路決定は、私にとって大きな壁だったのである。実はかなり窮地に立っていたのだろうと、今では思う。
しかしそんな窮地に立っていたのも束の間、転機が訪れる。お待ちかね、恋人の精神的な病である。うつ病ほど酷くはなかったが、当時はかなり衝撃だった。「こんなに身近な人がなるのか」と。
元々友人の悩みや相談に乗ることが好きだった私は、彼女の話を聞く事も世話をすることも苦ではなかった。むしろ、人の役に立てる事が嬉しかった。

もっと多くの人をこの力で救いたい、と思った。

そして心理学という学問に出会った。

自分に向いている、と思った。

向いていたと思う。自信を持って入った学科だった。受験が終わる頃には残念ながら彼女とは離れていたが、今でもこの道に出会わせてくれた彼女には感謝している。少し不謹慎ながらこの入学理由は美談のように語れる、ということも加えて。

そうして私の、心理カウンセラーを目指す大学生生活が始まるのである。

大学四年間を振り返って

もう振り返りパート。中身はないのかと。
あまり個人的なことをこんな所に書きすぎても仕方がないという気持ちと、大して話すほどでもないという2つの気持ちから、大幅カットさせていただく。強いて言うなら、学科にもサークルにもアルバイト先にも人に恵まれ、後悔のない、いかにもなキラキラ大学生生活を送ったと思う。 
キラキラすぎて、誰かに憧れられててもいいレベルだ。

だからつまらない。全て中途半端だったなと思う。必要がないと決めてしまったことを全く頑張らないこの性格が、私の平凡な大学生生活を支えた。
唯一の財産と言えば、素敵な仲間に出会えたことだろう。
彼らはみな、頑張っている。何かを。何か一つだけでも。

一応伝えておくがこれは負け惜しみを書くための文章では無い。自分を奮い立たせるための文だ。
負けたくない。自分にも。他人にも。

それぞれの進む道

五年生になった春、転機が訪れた。
冒頭で書いたように、思い描いていた進路を変えたくなった。
物事を決めたり辞めたりすると、人はその理由を聞く。

「やりたくなくなったから」

ではだめなのだろうか。だめだろうな。お金出してもらって勉強してたから。

でも世の中には、そういう理由は沢山溢れていると思う。
みんなそんなに、ひとつの意志を貫ける強い人間じゃないと思う。
もっとやりたいことに素直になって、なりたい自分を表現しやすい世界になればいいのに。
同時に、やりたくないことはやめてしまえばいい。
やらなきゃいけないことは、やろうね。

進路を「就職」 に変えてからの私の動き出しはとても早かったと思う。
迷いなく業界を決め、職種を決めた。
憧れを持っていたから。

好きなことを仕事にすることは、苦だと思う。
でも私の目指す業界は、「好きなら続けられる仕事」だそうだ。
生まれて此の方、何かのオタクになったことがない私は、その業界への程よい愛と憧れを持ち、門を叩く。

みんなはどうだろうか。同期は基本的には今年の春で社会人になった(五年生が周りに多すぎる)。

好きなことを仕事にする人、安定を求める人。
挑戦し続けている人。

それぞれに正解があって、間違いもあって、それぞれが皆、輝いて見えている。

その一つの選択に至るまでのみんなの人生は、きっと私以上の挫折や克服があると思う。

それらを全て、愛したい。

人間の生き様を見てみたい。格好よくなくてもいい、むしろダサくていい。もがいていていい。
生きているだけでみな、美しいと私は思っている。

人間のありのままを映す作品を作れたらいいな。
と、いう想いでテレビ製作者の道を選んだ。

いつかきっと、私の大好きな友人たちの生き様を覗きに行きたい。

友人達の、まだ知らない姿に出会いたい。

あとがき

チャプター分けが難しいな。何となく、深夜テンションでつらつらと書き始めたこの文章を早く纏めたくなってきたので、あとがかせていただく。

私の人生は、結局今のところ、ありふれた普通の大学生である。全く満足できていない。人生はこれから始まると思っている。というよりこれから始めさせて欲しい。

社会人になる、ということは、社会における歯車の一角を責任を持って担うことであると考えている。

大きな歯車になりたい。

そんな思いで、学生最後の夏を迎える。

今年をどんな夏にしようか。

次、文を綴る時、何か成長できていますように。


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