代わり映えのある風景。
春――
収穫の時。
僕の小さな庭には、小さな芽が顔を出した。
僕がこの畑に父さんと一緒に行くようになったのは、僕が引きこもってから、三年目の収穫の前だった。
僕の為に用意された畑の土を踏むようになる迄の間に、三年の月日が過ぎていた。
それまでは、僕は僕の部屋に閉じ籠り切りだった。
僕は引き籠りだったが、窓からいつも外を見ていた。
決して変わる事の無いその景色。
朝4時に起きた時には、新聞配達のバイクがやってきていた。
僕は新聞を取りに、まだ家族の誰も起きてきていないリビングを通り抜けて、玄関へ向かった。
僕はサンダルを履き、玄関を出て行った。
先日まで空気が冷たかったのが、嘘のように外の外気は暖かかった。
僕は新聞受けから新聞を受け取り、ビニール袋を破りながら、新聞を広げ、家の中に戻る。
僕は部屋のベッドに寝転びながら、新聞を一面から読み始める。
引き籠りだから、そんな事を言われたくなかった。
だから僕は新聞を毎朝、郵便受けに取りに行って、読み続ける。
これが僕の引きこもり対策。
僕は小さな窓の外から、代わり映えのある世界を覗くのだ。