明日の事は明日、考えよう。
春―――。
別れの季節。
春が来た、そう思うと、僕は暗い気持ちになっている。
公園には、あんなに桜が咲き誇っているのに。
僕は別れを意識してしまう。
職場で新年に移動があるように、僕は彼女とお別れした。
あんなに仲の良かった二人がどうして別れるなんてと僕の悪友は言った。
春は僕を憂鬱にさせる。
薄手の七分丈に袖を通して、僕は彼女との最後のデートの場所に向かう。
この七分丈のボタンシャツ、確か彼女が選んでくれたシャツだったっけ。
嫌いで別れる訳じゃない。
只、一緒にいて苦しくなったから、もう一緒に笑う事が出来ないから、僕は彼女に別れを切り出す。
僕が別れを切り出すと、彼女は何故?と僕に縋って泣いた。
僕にも分からない。
別れる理由が僕にも分からない。
君が悪いんじゃない、全部僕の身勝手な恋心が悪いんだ。
長持ちのしない生花のように、僕は去年始めたひとつの恋を終わらせる。
ホントに君が悪いんじゃない。
ホントは僕が悪いんじゃない。
別れる理由なんて、ホントは何一つ無い。
それは水に落としたハンカチのよう。
ハンカチはグングン水を吸い込んで重くなっていく。
理由など無い。それはそういうものだから。