サスペンス小説みたいな日常。
昨日、僕は仕事を休んだ、と思う。
じゃあ、誰だ?昨日、僕の代わりに駅清掃に行ったのは。
昨日、駅のトイレで死んでいた鳩の始末をしたのは誰だ?
昨日、同僚に「ありがとう」と言われた。
僕が鳩の死骸を片付けたそうだ。
僕は昨日は家で一人、熱を出して夕方まで寝ていた・・・筈だ。
自分の記憶が正しいのか間違っているのか分からなくなる。
まだ熱から覚めていないからなのか?
僕は本当は誰なんだ?僕は本当に僕なのか?
本当は僕の記憶は作られていて、僕以外の僕の方が本物なんじゃないのか?
昔、そんな映画を観た。
サンドラ・ブロック主演の『ザ・インターネット』だ。
彼女は誰とも会わず、ネットの中だけで、生きてきていた。
そして彼女は自分という存在を乗っ取られた。
結末は、彼女は自分を取り戻せた。
僕はどうだ?
結局のところ、また僕の妄想上の出来事なのか?
僕はちゃんと生きてるか?
僕はちゃんと走っているか?
それは僕の生きる社会が決める事。
僕が決める事じゃない。
だから、僕は今、何者でもない。