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テンプレを捨てよ、対話をしよう
年末の投稿以来、フリーランスの皆さまからの営業メールがぱったりと途絶えてしまい、なんだか寂しく感じていたのです。
ああ、真実をお伝えして絶望させてしまったのかしら…と思ったのもつかの間、今週からまたバリバリ勢いが戻ってきました。
お正月休みだったんですね。いいと思います。
ポートフォリオからなにも伝わらない問題
私はかねてより「オリジナルの制作実績をポートフォリオに掲載する」ことをお薦めしています。
例えばWebデザイナーであれば、自分で考えてデザインしたWebサイト(のデザイン)という意味です。必ずしも実案件でなくても構いません。
ただし、スクールで制作した課題だけだと評価のしようがありません。
こちらも多くのポートフォリオを拝見して、だんだん目が肥えてきまして、どこのスクールで学習されたのか?まで分かるようになりました。
「はいはい、行政書士事務所ね」
「はいはい、会計事務所ね」
「はいはい、不動産相続ね」
「はいはい、クリニックね」
「はいはい、保育園ね」
「はいはい、水族館ね」
みたいな感じで拝見しています。
送る相手がマーケティングの会社などであれば、細かく比較されないかもしれませんが、制作会社に営業するなら、せめてひとつでもオリジナルを送りましょうよ。
私はご連絡くださった方のパーソナリティが知りたいのです。テンプレのデザインからはそれが汲み取れないのです。
駆け出しの方に、実績の数は期待していません。
なんなら渾身のオリジナル実績がひとつだけ掲載されたポートフォリオのほうが、課題だらけのそれよりはむしろ好印象です。
法人様からの営業メールは99%が定型文
法人様からの営業メールも多いです。
フリーランスの方は、noteやWebサイトを見たことを明記してくださるようになってきましたが、法人様から届くメールは99%がテンプレです。
そのうえ、下記のような理由から、読む価値がないものが多いです。
若手社員が手当たり次第にメールを送っている
メール営業代行業者に依頼している
自動化ツールを使っている
業務効率化やコスト削減などを優先すると、定型文をたくさん送ったほうがよいという判断になるでしょうが、貰う側は面白くないですよね。
ある制作会社のブログで「ラブレターは届く」という文章を見つけました。本当にそのとおりだと思います。
メール営業は定形文ではなく、きちんとその企業のことを理解した上で、魂が込められたメールであれば、相手に伝わる可能性がぐんと高くなります。
私も本当に好きな企業に対してそのようなメールを送ったことがありますが、返信率はとても高かったです。
逆に考えると、自社のこういうところが好きで、こうしたらもっとよくなるので提案させてください、と言われたら少し話を聞いてみたくなるのが心情ではないでしょうか。
ただ、問題は本当に好きな企業でないとその思いが滲み出てこないので、出せるメールにも限度がある、ということです。後は特定電子メール法も忘れずに。
テンプレの営業メールからは、その会社や担当者のパーソナリティを感じ取ることができません。それがAIによって生成された文章なら尚更です。
効率重視の無味乾燥な時代だからこそ、かえって血の通ったコミュニケーションが恋しくなるのです。
フルリモート時代の業者選定の決め手とは?
昨年あたりから、東京・大阪・名古屋といった都市圏の、社歴も実績も弊社より格上の同業者からの営業メールが増えてきました。
一年前に感じていた下記のような変化が、フリーランスだけでなく法人にも起きているのかもしれません。
関東圏の制作単価が下がっている
関東圏のクリエイターが飽和している
地方への外注が増えている
Web案件の内製化が進んでいる
制作会社を比較検討できるWeb幹事のデータによると、Webサイト制作の平均発注金額は82.5万円。中央値は43.4万円となっており、50万円までの比較的シンプルなサイトを作っている方が約6割となっています。
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これはWeb幹事というサービスを介した発注額の平均値なので、もちろんもっと高額な案件もたくさんあります。
ただ、プロポーザルやコンペを除いた、商談で制作されるWebサイトの相場としては、妥当な金額だと思います。
というか、地方の相場観と照らし合わせても差を感じません。案件の絶対数は都心に集中しているにも関わらず…です。
コロナ禍でリモートワークが一気に広がり、Web制作はフルリモートでOKというクライアントが増えました。
ゆえに、発注価格の地域差が少なくなっているのです。都心では制作費は下がる、地方では逆に上がるといった現象が起きています。
実績や立地で差が付かなくなった世界で、最終的に制作会社を選択する決め手は何になるのでしょう?
やはり、パーソナリティではないでしょうか。
私は人間同士で対話がしたいです
最近「noteを読みました」「Webサイトを見ました」とご連絡をくださる方が増えてきて、大変ありがたく感じています。
私はこうして皆様にお伝えしたいことを書いているだけですが、そこに何かを感じてご連絡をいただけるというのは、これもひとつのコミュニテケーションのあり方だなと考えています。
テクノロジーが発展して、コミュニケーションは急速に同質化しています。
生成されたテンプレートをコピペ、コピぺで簡単に表現することができてしまいますが、それではやはり選ばれる理由が乏しいと感じています。
こういう時代だからこそ、パーソナリティが伝わるコミュニケーションを、意識的に心がけることが大切なのではないでしょうか。
私はテンプレではなく、個性ある人間と対話がしたいです。
引き続き、皆さまからのご連絡をお待ちしてます。
では。