見出し画像

プログラミングネイティブの脅威

今週は「やまぐちジュニアプログラマーコンテスト2024の審査発表会に参加してきました。

今年度で2回目を迎える、山口県の小・中学生を対象としたプログラミングのコンテストです。

プログラミングで制作したアニメやゲーム、アプリなどを発表します。技術だけでなく、珍しくて面白い発想を評価します。

ベストジュニアプログラマー賞に選ばれると、3万円分商品券&豪華副賞がもらえるうえ、「全国選抜小学生プログラミング大会」「TECH KIDS GRAND PRIX 2024などへの出場権を獲得できるとのことで、選ぶ側の責任も重大です。

第一回に引き続き、審査員を担当しています。

やまぐちジュニアプログラマーコンテスト総評

わたしたちが審査したのは、一次審査を通過した30作品です。

昨年よりも応募総数が増えており、100点を超える応募があったそうです。数が増えたぶん、審査対象作品のクオリティがあがった印象を受けました。

また、開発ツールが多様かつ高度化した点にも注目しています。

前回は8割以上がScratchという開発環境で作られていましたが、今年はMincraftを使った作品もあれば、SPIKE プライムで作ったロボット作品もありました。生成AIを使った作品があったのも、今年ならではです。

最も驚いたのは、小学生がUnityというガチの開発環境を使って、スマートフォン用のゲームを作っていたことです。

ゲームで使用しているBGMやキャラクターも、すべて自作だそうです。マルチクリエイターですね!

プログラミング教育の黎明期から比べて、(一部の)小中学生のICTリテラシーは飛躍的に向上しています。

プログラミング教育とGIGAスクール構想

以外に思われるかもしれませんが、2020年に始まったプログラミング教育では、プログラミング言語を身に付けることを目的としていません。

「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)」という資料には、プログラミング教育とは下記のようなものであると記載されています。

子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育むことであり、コーディングを覚えることが目的ではない。

小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ(文部科学省)

ここでいう「プログラミング的思考」とは、「論理的思考力」「創造性」「問題解決能力」を兼ね備えた、未来の社会を生き抜く力を指します。

決してプログラムの実装力のことではありません。

学校の先生はプログラマーではないので、授業でプログラムの書き方を教えてもらえる可能性は低いです。

学校教育現場におけるプログラミング教育では、必ずしもプログラムの実装力が向上するカリキュラムが用意されているわけではないのです。

にもかかわらず、コンテスト応募作品の質と量が上がっている理由は何なのか、自分なりに考察してみました。

子どものプログラミング実装力が上がった理由

スマートフォン・タブレットの普及

多くの子どもたちがスマートフォンやタブレットを使用しており、直感的なインターフェースに触れる機会が増えています。学校でもGIGAスクール構想で一人一台タブレットが支給され、日常的にICT機器に触れています。

オンライン学習リソースの充実

Scratchなどは、他者が作ったプログラムで遊んだり、ソースコードを流用して新しいゲームを作る(リミックスする)ことができます。また、コメント欄でバグの報告や機能追加の要望を受けて、フィードバックを得ながら改良していく環境が整っています。

ゲーミフィケーションの定着

Minecraftようなプラットフォームは、ゲームの中にプログラミング要素が取り入れられています。遊びの中でプログラミングスキルを自然に習得し、それを実践的なプログラム作成に応用できるような土壌が定着しています。

プログラミング教育機会の増加

学校外でプログラミング教育を受ける機会が増加しています。民間企業やNPOが運営するプログラミング教室が各地で開講され、専門的な指導を受けられる場が増えています。

無料プログラミング学習コンテンツの増加

NHKの「Why!?プログラミング」という番組で、プログラミングに興味を持ったという声をよく聞きます。また、YouTubeなどの動画共有サイトでも、プログラミング学習用の教材はたくさんアップされています。無料動画で学習できるという点も大きいでしょう。

これらの要因が相互に作用し、学校教育の枠を超えてプログラミングの実装力が向上していると考えられます。

子どもたちが楽しみながら、自然とプログラミングスキルを身につけることができる環境が整ってきているのです。

勉強しない大人が淘汰される日は近い

このような実装力を身に付けたプログラミングネイティブが、あと4年もすれば社会人として世に放たれます。

それどころか、早い子は在学中から頭角を現します。

コンテストの参加者にも、スマートフォンアプリをリリースして広告収入を得ている小学生がいました。

できる子は、すでに自分のスキルで稼ぎ始めています。

今後は仕事を依頼する側も、ネイティブと対話ができるぐらいにはプログラミングを理解しておかないと、若い人材に選んでもらえなくなるでしょう。

大人は必死でスキルアップし続けなければ、すぐに淘汰されますよ。

生き残りたければ、勉強しましょう。

では。


いいなと思ったら応援しよう!