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「推し箱麻雀」のすゝめ

(ほんとはド◯ジャラのほうが概念として近いんですがドンジ◯ラは登録商標なので……)


推し箱麻雀とは

推し箱麻雀とは、推し箱の麻雀である。

民明書房「推し箱麻雀のすゝめ」

推し箱麻雀とは、麻雀とは異なる牌、典型的には推し作品・推しグループ(以下”推し箱”とします)のメンバーを牌として使って麻雀なゲームをする遊びです。
麻雀のゲームシステムを使った上で「みんなで推し箱語りをする」ことを実際の目的とするものです。ので麻雀がわからなくてもこのページは読めます。

この動画から発想をもらったものなので、手っ取り早くどういうノリのものなのかを知りたい方はこちらを御覧ください。

どうやるの?(ルール面)

使う牌は?

まず推し箱の牌を用意する必要があります。
麻雀では34種の牌をそれぞれ4つ用意しますが、ド◯ジャラでは題材に依ってn種の牌をそれぞれmつ用意します。
つまり「題材に沿っていれば牌が何種でもそれらがそれぞれいくつでも(牌によって数が違ってもいいでしょう)構わない」ということになります。
具体的な準備方法は『どうやるの?(準備・実施面)』にて。
牌に数字を付与するかどうかは解釈が別れるところかと思います。よしなにどうぞ。多分付与しない(牌の順序性の定義をプレイヤーに任せる)方が面白いんじゃないかな……と私は思います。

ゲームの流れは?

基本的には麻雀に準じます。
つまり

  1. 牌を全部裏向きにしよく混ぜて山をつくる

  2. 手牌を引く

  3. 任意の手段で開始プレイヤーを決めて局を開始する

  4. ターンプレイヤーは自分の手番で下記を行う

    1. 山から一枚引いて手牌に加える

    2. 手牌が完成すれば和了を宣言してその局が終わる(ツモ和了)

    3. 完成しなければ手牌から一枚捨てる

      1. その捨牌をもらってくれば手牌が完成するプレイヤーがいる場合、そのプレイヤーが和了を宣言する(ロン和了)

    4. ターンプレイヤーを次の人に移す

  5. 誰かが和了を宣言するか山が無くなるまで4を繰り返す

というのが典型的な流れになるでしょう。
ちなみに麻雀に倣うならプレイヤーは4人ですが、別に何人でやってもいいんじゃないかな……推し箱語りして楽しい人数でどうぞ。

和了の定義は?

手牌+1枚(自分のターンに山から引いた牌or他人が捨てた牌)で手牌が完成すること。
じゃあ「手牌の完成」の定義は?というとこれはもう題材にする推し箱とプレイヤーの解釈に依るかと思います。
むしろ「和了プレイヤーによる、どうしてこれで手牌が完成するのかの説明」が推し箱語りをする上での肝になるでしょう。
典型的には下記が考えられます。

  • 手牌をいくつかの小グループに分けきることができる

    • 単純に「牌a×3」「牌b×3」……のような形で揃っている

      • もっとも、これを手札の完成として認めた場合に楽しいかは……場合に依る?

    • 「A」「B」「C」……の小グループの組み合わせとして手牌が揃っている

  • 手牌全体としてなんらかのエモい組み合わせになってる

    • 単純に全種揃ってる

    • 手牌全体が何らかのグループである

「事前に個別具体的に役を定めておく」というのはおそらくこの遊びにはそぐわないでしょう。
もっとも、牌を作った時点で「こんな手牌になったらそらもう役だよね」と妄想するのはそれはそれで大変楽しいと思いますが。

牌全体と手牌の数は?

極論なんでもいいんですが、たとえば下記が基準として考えやすいでしょう。

  • 麻雀

    • 4人麻雀

      • 使用牌の総数は34種×各4牌=136牌

      • 手牌は13牌×4人=52牌

      • 王牌14牌を残して流局するまでに標準的には17.5回自順が来る

    • 3人麻雀

      • 使用牌の総数は27種×各4牌=108牌

      • 手牌は13牌×3人=39牌

      • 王牌14牌を残して流局するまでに標準的には23回自順が来る

  • ポンジ◯ン

    • 4人プレイ

      • 使用牌の総数は(3要素×3要素の)9種×各9牌=81牌

      • 手牌は8牌×4人=32牌

      • 流局するまでに12.25回自順が来る

  • すずめ雀

    • 2~5人

      • 使用牌の総数は11種×各4牌=44牌

      • 手牌は5牌×2~5人=10~25牌

      • 流局するまでに3.8回(5人)~17回(2人)自順が来る

  • 六華

    • 使用牌の総数は21種×各2牌=42牌

      • 捨牌と山に区別がないので流局(山切れ終了)なし

下記を踏まえて適当な数字を決めてください。

  • 入れたいメンバーの数と各何枚入れるかを最初に決めるとやりやすい

    • 先述しましたが別に牌の各種を全て同じ数投入する必要もありません

  • 使用牌の総数を踏まえて大体「手牌の数よりやや多い(1.3~1.7倍ほど)」くらい自順が来るとちょうどよさそう?

    • 手牌の完成がどれくらい難しい牌セットになるかに大きく依存します

      • 基本的に「どんな手牌からでも理論上総入れ替えできる」という意味で「$${自順の回数\geq手牌の数}$$(下記で表すなら$${R\geq1}$$)」は守ったほうがいいでしょう

      • ゲーム性を求めるなら「粘りすぎると役が完成しないよ」という意味合いで「$${手牌の数\times2\geq自順の回数}$$(下記で表すなら$${2\geq R}$$)」くらいにするといいでしょう

        • 「グループを組ませて語る」ことをより重視するならこの制約は弱めていいと思います

          • $${R=3}$$くらい?

ばしっと決めたい!という方は下記の数式でどうぞ。
使用牌の総数を$${A}$$、参加者の人数を$${N}$$、手牌の数を$${h}$$、自順が来る回数と手牌の数の比を$${\frac{自順が来る回数}{手牌の数}=R}$$と置いた時に「手牌の数のR倍だけ自順が来る=使用牌の総数から手牌の数を人数分差し引いで人数で割った数(自順が来る回数)が手牌の数のR倍になる」というのは

$$
\frac{A-Nh}{N}=Rh
$$

と表せます。これを$${h}$$について解くと

$$
h=\frac{A}{N(R+1)}
$$

となります。
たとえば使用牌の総数$${A=136}$$、参加者の人数$${N=4}$$、手牌の数と自順が来る回数の比$${R=1.3}$$(要は4人麻雀において自順が手牌の数の1.5倍の回数だけ来る場合)と設定すると手牌の数$${h=14.78…}$$となり「手牌の数は14か15くらいがいいな」とわかるわけです。
(ちなみにこれは王牌を無視して山を全部引き切る前提になっています。王牌を考慮すると$${A=136-14=122}$$となり、$${h=13.26…}$$となります。つまり現実の四人麻雀では手牌の数は13ならば自順が手牌の数の1.3倍ほどの回数来る、ということです)

もちろん逆の使い方、すなわち「手牌の数を先に決めて使用牌の総量を決めたい」という事も可能です。$${A}$$について解くと

$$
A=N(R+1)h
$$

となります。
たとえば参加者の人数$${N=4}$$、手牌の数$${h=13}$$、手牌の数と自順が来る回数の比$${R=1.3}$$(4人で手牌の数を13として自順が手牌の数の1.5倍の回数だけ来る場合)と設定すると使用牌の総数$${A=119.6}$$となり「使用牌の総数は120くらいがいいな」とわかるわけです。
(上と同様に、これは王牌を無視して山を全部引き切る前提になっています。王牌を加えると$${A=120+14=134}$$となります。)

麻雀にあるアレは?ソレは?

(この項目は麻雀を知っていることが前提です)
それぞれ実装する/しない、するならどう実装する、はプレイヤー間で決めてください(投げやり)
たとえば下記要素が考えられます。

  • チー

    • 牌に数字を付与しない場合は「この2牌に他人が捨てた1牌を組み合わせるとこうグループになる!」の解釈でやると楽しいでしょう

  • ポン

    • 好きにしたら(投げやり)

  • カン

    • 「ドラに関わる」「もう一枚引ける」という点で面白いかも

    • なんなら「4人の(つまり4種の違う牌の)グループ」でカンできてもいいかも?

  • ドラ

    • 牌に数字を付与しない場合は「ドラ表示牌の”次”って誰?」という解釈の一側面を披露できる場になります

    • ただし点数などで手牌の強弱を定義しないとドラ自体がゲーム上の意味を持ちません

      • 「私はドラ表示牌の次ってこの牌だと思う」を披露して持ち主プレイヤーのテンションを上げるだけでもいいっちゃいいです

  • 雀頭

    • 題材によってはフィットするかも

      • 「リーダーとして必ず『任意の牌×2』か『特定の2牌の組み合わせ』が必要」とか

  • 点数

    • 基本は「和了ったらその局はそのプレイヤーの勝ち、誰かが飽きるまでやる(点数は定義しない)」でいいと思います

    • もし点数を定義するなら「手牌で完成したグループそれぞれの難易度とエモさ」あたりを基準に適当につけるといいんじゃないかな

総論として「ゲームとして緻密なものにする必要はなく、その場のプレイヤー達が楽しく推し箱語りできれば良い」ということが重要だと思います。緻密なゲームしたかったら麻雀してください。

この箱ならこういう(麻雀にない)要素あってもよくない?

思いつく限りどんどんやればいいと思います。
冒頭例に出したにじさんじ麻雀なら「局が進むごとに1年ずつ時が進んでデビュー(山に追加)と卒業(山から削除)」とか。
スポーツチームの推し箱麻雀ならトレード要素とか。
MtGの推し箱麻雀なら手牌作成時のドラフト要素とか。
推し箱の性質に沿うような要素をお馴染みのゲームからもらってきたり考え出したりする過程そのものもきっと楽しいでしょう。

どうやるの?(準備・実施面)

実行環境

牌や裏表のあるカードを準備できる環境なら極論なんでもいいです。
現実のカード等として作成してオフ会でやっても楽しいでしょう。
が、おそらく主流になりうるのは「オンラインで(ボイスでもテキストでも)チャットしながらプレイできる環境」でしょう。
その意味ではココフォリアが一番楽だと思います。

ココフォリアを選ぶ理由は下記のとおりです。

  • 環境を用意する人も使う人も無料でできる

  • そもそも利用者が多い

  • 操作が直感的ですぐ覚えられる

  • スマホ・タブレットでも使える

  • 裏表のあるカードを準備するのが簡単

  • 山札の概念が存在する

    • シャッフルは明には無いが山札にカードを戻すたびに自動シャッフル

  • 環境を簡単に複製できる

  • ゲーム開始時の状況をセーブ・ロードできる

  • イメージに合うBGMをセットできる

上の理由について、他のツールでも満たすものはあります。(ユドナリウムなど)
が、私の観測範囲ではココフォリアユーザーが圧倒的に多いため「多数が既に習熟していてかつ新規にもわかりやすい」という点を重視してココフォリアをおすすめしておきます。

より麻雀的な雰囲気を味わいたい場合はTabletop Simulatorも選択肢になるでしょう。
ただし下記の欠点もあります。

  • やや準備が面倒

    • カードではなく牌として準備したいなら尚更

    • でも牌にしたいならおそらく一択

  • スマホ非対応

  • プレイ環境が有料

開始前の準備

ここは環境依存ですが、典型的には下記の準備がいるでしょう。

  • 題材の推し箱と牌にするメンバーの選定

  • ルールの説明

    • 大枠伝えたらあとは大富豪のローカルルール擦り合わせるノリで

  • 牌の作成

    • 大抵の環境ではカードとして作成することになるでしょう

      • 裏面は統一された何かしらの画像(推し箱のイメージ画像とか)

      • 表面はそれぞれのメンバーを表す画像

  • (オプション)BGMの準備

    • 題材に沿ってそれらしいBGMを用意すると楽しくなれます

  • (オプション)場の作成

    • 題材に沿ってそれらしい背景を用意すると楽しくなれます

    • プレイヤー毎の手札の位置を背景で明示しておくとやりやすいです

      • 手札の位置は必ずしも現実の麻雀に即した「四角いテーブルを4人で囲む」状態に拘る必要はありません

        • 大抵の環境はカードを「自分だけ見る」機能があるので、たとえば4人でプレイするならば単に横に長い手札置き場を4つ縦に並べるだけでもいいでしょう

背景は例えばこんな具合がやりやすいのでは

最後に

この記事を書いたきっかけは、にじさんじ麻雀の話を振った友人に「これどんな箱でも楽しい万能ルールでは」と指摘されたことでした。そこから色々考えつつ書いてみましたが、麻雀というゲームの構造について色々考える機会にもなり大変楽しかったです。

この記事の内容は(冒頭のヘッダーを除き)完全にフリー素材です。共有、コピー、改変、AI学習、なんでもどうぞ。WTFPLです。ライセンス文貼るのはBANされそうなのでやめときます。
この記事を参考に◯◯麻雀を作って別個に公開したりするの、大歓迎です。もちろん当記事へのリンク等もどちらでも構いません。作った!やった!というご報告をどこかで拝見することをほんのり期待しております。

記事についてはどんなコメントでも受け付けております。やったよ報告とかもらったら喜んじゃうかも。

追記

書き終えて公開してから気づいたけど、先行研究調査してないですね。
既出だったらすいません。そもそもにじさんじ麻雀とか各種ドンジ◯ラの時点で既出だろ、と言われればそれはほんとにそう。


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