平成から令和へ(フォン・ノイマン編)
4週間前、記憶がなくなってしまった。
5-6日間という短期間とはいえ
全く記憶がないというのは、やはり不安だった。
しかし、ここまで書いてきたように
自分のからだに起きたことをコンピュータに例えたことで
客観的に、さも幽体離脱したかのように見えたから不思議だ。
当時の記憶が思い出せたわけではないのに
臨場感そこそこに書いているのは
滅多になりことだからと無意識に気持ちを録音したからだ。
そこには、コンピュータ用語がいくつも登場していた。
メモリクラッシュ
フラグメンテーション
リンク切れ
記憶保護例外
メモリパッチ
キャッシュ
・
・
・
毎日、そうした不安な気持ちを音声にして残すことで
自分をなだめるかのように見つめた。
そうでもしないと、
頭の中にある灰色の大きなふわふわした雲が
心まで侵入して
自分がなくなりそうだったからだ。
自分が書き留めた記録には
何度か同じ文章があった。
アイデンティティの不在。
そう、記憶とは、自分を作っている中心なのだと実感した。
5月2日、それまでの記録をすべて読み直したとき
とてもクリアになった。
わたしは変化したのだ。
生活や仕事に支障のない範囲の短い記憶を失くしたことで
わたしの身体は確実に変化した。
それまでのわたしは、
ノイマン型コンピュータだったのだ。
近代のほとんどのコンピュータのモデルをつくったのは
ジョン・フォン・ノイマン博士である。
わたしは、変わったのか。
メモリが増設されたの?
OSがバージョンアップしたの?
違う。
わたしは、量子コンピュータになったのだ!!
ということで
これまでのわたしは
0か1のいずれかである、バイナリー:ビットでしたが、
このたびめでたく
0であると同時に1でもある
量子ビットになったのである!!
量子コンピュータは高速。
量子コンピュータは複雑な問題を複雑なまま処理する。
ご心配をおかけしたみなさまにお伝えしたい。
こじみは、量子コンピュータに生まれ変わったと。
令和は量子ビットで動き始めた。
わたしは とうとう 元気になった。
平成から令和へ
おわり。
ご愛読、ありがとうございました。