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音楽ソフトの激安セールについて思うこと

毎年秋~冬にかけて行われるブラックフライデーでは、
音楽制作ソフト・プラグインのすさまじいセールが行われています。

各メーカーはそこが1年の内の最大の稼ぎどころだとわかっているため、
通常時には行わないような激安セールを毎年しています。

当然界隈は盛り上がり、僕もそのタイミングでずっと欲しかったものを買うことが多いのですが・・・毎年僕は消費者側のジレンマみたいなものを感じていたりします。


それは、
『セールに1番飛びつく初心者~脱初心者~中級者なりたて… くらいの人ほど、自分が買うべき商品がよくわからないまま雰囲気で購入している』
ということ。

これ、逆にいうと、
『セールを1番活用できる人は上級者のみである』
ということになります。

要は、
買い物上手かどうかが熟練度と完全比例する
ってことなんです。


どういうことかをもう少し説明します。


音楽制作ソフト・プラグインにはよくあることとして、大体2~3段階に機能制限したバージョン違いがあります。

(1)フルバージョン
製品名そのものずばりでシンプルに命名されているか、「うんちゃらかんちゃらPro」みたいな感じで上位版っぽい冠が付いてることが多いです。

メーカーが開発した最新機能をすべて搭載しているのがこれで、当然ながら高価です。

(2)廉価バージョン
製品名に「Elements」などの文字が追加されていることが多いです。
〇〇LEとか、〇〇AI とかってパターンもあります。

これはフルバージョンから一部の機能において細かいマニュアル操作はできないようにしてあったり、一部機能を使えなくしてあることがほとんどです。ただ、フルバージョンの目玉機能自体は"一応"使えるので「マニュアル操作とかはよーわからんけど最新機能を使いたい!」みたいな人にとってはちょっと良さげに見えたりします。

そのためフルバージョンと比較すると半額から1/4くらいの価格になることが多いようです。


(3)ほぼ無料体験版バージョン
場合によっては、無料体験版に近いエントリーバージョンとして更に下位が設定されてることもあります。

感覚的には無料デモ版か、それに近いものが数百円~1000円くらいで使えるって感じかな?
賢く使えば使いどころを見出すことが不可能ではないと思いますが、肝心の最新機能は一切使えないことがほとんどです。
基本的にはないものと思った方がよいでしょう。


で、話を戻すと、この(1)と(2)に関しては、各メーカーごとにバンドル製品を用意していることが多いです。

バンドル製品とは簡単に説明すると

(1)に該当する製品を10個まとめたバンドル製品
⇒1つ7万円する製品を10個まとめて、セット割引で15万円にしているお買い得パック
「通常70万円相当が15万円で買える!」みたいな書かれ方を良くする。

(2)に該当する製品を10個まとめたバンドル製品
⇒1つ2万円する製品を10個まとめて、セット割引で4万円にしているお買い得パック
「通常20万円相当が4万円で買える!」みたいな書かれ方を良くする。


見れば一目瞭然、どちらもすごーく安いです。
内容も別に悪いわけではないので、二重価格で安く見せかけている、というわけでもないです。

ただ、このときに、初級者~中級者の人がよく反応しがちなのは
「通常20万円相当が4万円!」
の方なんですね。

たぶん15万円とかだと流石に躊躇しちゃうけど、4万ならちょっとしたソフト1個分くらいの値段ですからね。1個分の値段で10個もソフトが手に入ったら色々と捗りそうな気がするのでしょう。


そこに追い打ちをかけてくるのが 激安セール です。

ブラックフライデーなどの激安セールのときは、当然ながらバンドル製品も当然値下がりします。

そこでよくあるのが、こういう感じのです。


(1)に該当する製品を10個まとめたバンドル製品
⇒1つ7万円する製品を10個まとめて、セット割引で15万円にしているお買い得パック
「それが期間限定で更に大幅値引きで5万円に!元値の93%オフ」

(2)に該当する製品を10個まとめたバンドル製品
⇒1つ2万円する製品を10個まとめて、セット割引で4万円にしているお買い得パック
「それが期間限定で更に大幅値引きで6000円に!元値の97%オフ」


どちらも単品買いの値段を元に算出されるため
とんでもない値引き率になっているのが笑えますw


そこでだよ!

そこで初心者から中級者くらいの人が、ふらふら~って購入してしまうのが

(2)「それが期間限定で更に大幅値引きで6000円!元値の97%オフ」

こっちなんだよ!!!!

わかるよ、20万円相当のソフトが6000円だよ。
内容も悪くないし、6000円ならおこづかいでも買えるもんな!
普段から遠目からちらちら眺めていたあのソフトがその価格で10個とか手に入ってしまったら夢が広がりそうな気がするもんな!


だけど!!

やめとけーーーーーーー!!!!!


って毎回僕は思うのだ……

僕は先生をやってる関係で…教え子がたまに買うのです…6000円の方を…

それで入手した10個のソフト、
大して使いこなせないままHDDの奥底に沈めてしまうことになるというのに…!


つまり、どういうことかというと、
Elementsなどの冠が付いてる(2)というのは機能制限版なんだな。

機能制限版というのは、製品紹介ページで魅力的に描かれてる最新機能を巧妙に全部使えないようにしてあるわけ。

そして、初心者は!!!

その機能制限版が自分に適しているのかどうかを判断する能力が!!!

そもそも!…ない!!!!!


のである。


これがある程度のベテランになったあとならば、場合によっては

「へぇ〇〇はElementsでも充分使えるし、サブPC用に買うかぁポチー」

みたいなクールな判断が可能だったりする。


しかし実態はこうだ。

残念ながら
「Elementsでもいいじゃん~!買っちゃお(^_^)」

なーんて思ったこと、

僕は過去に!!!

1度たりとも‥‥!

ない…!!!!!!!

のである。

もちろん人によっては、製品によっては(2)で充分と判断するケースはあるかもしれない。
(重ねて書くけど少なくとも僕は1度もないです)


わかる?

大事な機能はフルバージョンにしか入ってない

のだ…

しかし毎年セールの時にやるんよ。
「20万円相当のソフトが期間限定で97%オフで6000円!」
って。


買うだろ、学生とか初心者ほど買っちまうんだよぉこれ…。

ま、まぁ…否定的なことを書いておいてなんだけど、実際はいうほど悪い内容じゃないんだけどね…汗
だから僕もこれを主張するのは心苦しいし複雑な気分だったりする。


でも、ここで言いたいのは(2)の内容の良し悪しの話ではないのです。

(2)が自分に適したものかを判断できない人ほど
「なんとなくすげーお得そうだから買ったった!!(∩´∀`)∩」

ってやってるって話ね。

ある種のお祭りみたいなもんだからそれはそれで良いかもしれないけれど…。


というわけで、バンドル製品のセールを見るたびにしばしば苦い気持ちになる自分でありましたとさ。
ちゃんちゃん

<追記>
「自分の目できちんと比較してElementsでも充分だから買います。」
って判断が自力でやれる人はもう立派なDTM上級者だと思います。
そういう人が安いバンドルをセールで買うことを僕は一切否定しません。

そうではなくて、自力で判断ができない人が
「お得そうだし、将来使うかも~」
って感じで買った場合の1年後2年後を想像したときに、あとで無駄遣いが判明する可能性が高そうだ、という話です。

1年経ってから
「自分が1番欲しい機能はElementsには入ってなかった…。結局上位版買いなおしかぁ~」
となる可能性は大いにあり得ると思っています。

そうした懸念から、個人的には
「知識がない人ほど少し頑張って上位バンドルを買った方が良いのでは?」
と考えていたりします。

だって(2)を買ってそれをめっちゃ使いこなしてる初心者~中級者とか僕は1度も見たことないんだもん。結局機能に不満を覚えて(1)へアップグレードすることの方が多くない? っていう。

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