![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/30954290/rectangle_large_type_2_063210374e6c603dd67fcdb4b811bd5b.jpeg?width=1200)
藤井聡太氏が今年度中に「四冠」になるかもしれない件
▼数日前、寝起きにスマホを見ると、noteから、あなたの記事が、1週間で最も読まれた記事の一つでした、というお知らせが届いていた。寝ぼけていたので、すぐ消してしまったので正確な文章ではないが、大要、そういう内容だったと思う。それがこの記事。
〈将棋のトッププロに見えている残酷な現実の件〉
これは2019年の3月に書いたものだ。直近の1週間で4000から5000ビューくらいだったと思う。
▼すでに書いたが、ここ数日、なにもメモをアップせずにいたのだが、ページビューが今までのどの時期よりも多くなっている。理由はわかりやすくて、藤井聡太氏のタイトル戦報道の影響が、もろに出ている。
なにしろ藤井聡太氏の使っていたマスクが売れるし、昼食で食べた食材が売れるし、すごいブームである。筆者のような細々と書いているメモにまで影響が及ぶくらいだから、将棋業界にとって、すさまじい宣伝効果であることが想像できる。
▼産経新聞の記事から。
〈【ヒューリック杯棋聖戦】藤井七段、新棋聖に 史上最年少タイトルホルダー 30年ぶり更新〉(2020.7.16 19:12)
〈将棋の高校生棋士、藤井聡太七段(17)が渡辺明棋聖(きせい)(36)=棋王・王将=に挑戦していたタイトル戦「第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負」(産経新聞社主催)の第4局が16日午前9時から、大阪市福島区の関西将棋会館で指され、後手の藤井七段が勝ち、シリーズ3勝1敗で初タイトルとなる棋聖位を獲得した。
17歳11カ月でのタイトル獲得は、屋敷伸之九段(48)が持つ最年少記録(18歳6カ月)を30年ぶりに更新。初の現役高校生のタイトルホルダーとなった。
藤井新棋聖は今シリーズ、17歳10カ月と20日の史上最年少でタイトルに挑戦した。現役最強とされる渡辺前棋聖に対し、相手の得意戦法の矢倉戦で開幕2連勝。初タイトルに王手をかけた第3局では敗れたものの、2勝1敗で迎えた第4局は、連勝した第1、第2局と同様に矢倉戦となったが、三たび勝利し、3勝1敗で初戴冠(たいかん)を成し遂げた。〉
▼筆者は何度かレーティングを挙げて、すでに最も強い棋士になっている藤井氏が、藤井氏よりレーティングの低い渡辺氏に勝つのは当然だということを書いてきた。しかし、それでも、棋譜を振り返ってみると、おそるべき17歳である。藤井氏の指し手の何がすごいのかについて、読売新聞で駒の動かし方を知っている人なら理解できる面白い記事が載っていたので、それは稿を改めよう。
▼毎日新聞が、今後の見通しを手際よくまとめていた。
〈4冠も見据える藤井聡太新棋聖 「名人をこす」夢は続く〉(2020年7月16日 19時22分(最終更新 7月16日 22時31分))
〈藤井聡太新棋聖は現在、王位戦七番勝負でも木村一基王位(47)に挑戦中で、2連勝を決めている。今年度内にタイトル戦が行われる棋戦としては他に、決勝トーナメントまで進んでいる竜王戦、前期リーグで残留した王将戦の二つが残っており、最大4冠まで可能性がある。
日本将棋連盟の規定では、タイトル獲得2期で八段昇段、3期で九段昇段となる。昇段の最年少記録は八段が加藤一二三九段(80)の18歳3カ月、九段が渡辺明王将の21歳7カ月。藤井が王位も奪取すれば最年少で八段となり、年度内に3冠になれば九段への最年少昇段記録も更新する。
前期王将戦リーグで藤井は、勝てば挑戦者となる最終局で敗れ、4勝2敗で挑戦権を逃した。今秋から、前期挑戦者の広瀬章人八段(33)、豊島将之名人(30)、羽生善治九段(49)を含めた7人のリーグ戦に参加し、再度、渡辺明王将への挑戦を目指す。【丸山進】〉
▼現状は、8つのタイトルを独り占めする力のある棋士はいない。
▼そもそも、将棋がこれだけ全国規模でブームになるのは、各新聞社がお金を出している文化事業であるから、という理由が大きい。新聞は自分たちがお金を出しているのだから、必然的に大きく報道する。だから新聞記事を紹介するテレビのワイドショーも、自然と大きく報道する、という仕組みになっている。
▼その視点で各タイトル戦をみてみると、木村一基氏との番勝負が続いている王位戦は、ブロック紙である北海道、中日、西日本の3紙などがお金を出している。
もし王位戦で藤井氏が勝てば、棋聖戦で産経新聞が盛大に報道したように、東京だと東京新聞が大々的に特集するだろう。
▼また、上記の毎日新聞記事がくわしく書いていた王将戦は、スポーツニッポンと毎日新聞がお金を出している。もし王将戦で藤井氏が勝てば、以下省略。
毎日新聞が詳しく書いていない竜王戦は、読売新聞の主催。朝日新聞、毎日新聞が主催している名人戦に対抗して、読売が名人戦よりも賞金の大きいタイトル戦をつくった。それが竜王戦だ。だから、将棋のタイトルのなかで、最もランクが上なのは竜王戦だ。現在の豊島将之氏は名人と竜王を持っているが、その場合の呼び方は、他のタイトルとは異なり、「竜王名人」と並べる。順番は賞金額の順であり、竜王が先だ。
とはいえ、名人戦は他を圧倒する伝統があるから、竜王と名人とは、たいだい同じ格っぽく扱われる。
その、最高のタイトルである竜王戦に、今年度、藤井氏が挑戦する可能性があるわけだ。
新聞社がお金を出している件と、藤井氏の圧倒的な強さから推測するに、藤井聡太人気は、今がピークではまったくなく、これからどんどん大きくなっていくだろう。
そのピークは、もし藤井氏が勝ちあがれば豊島氏と戦うことになる竜王戦の番勝負になると思う。次号は、藤井聡太氏を育てた将棋教室の話題について。
(2020年7月23日)