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すべてが「ハイブリッド戦争」に使われる件(1) LINEの個人情報

▼LINEの個人情報が中国に漏れているかも、という物騒なニュースが流れた。2021年3月17日付朝日新聞1面トップから。

〈LINE個人情報保護 不備/中国委託先で閲覧可に/運用見直し 第三者委設置へ〉

デジタル版によると、記者は編集委員の峯村健司、大部俊哉の両氏。

〈国内の月間利用者が8600万人に上る無料通信アプリを運営する「LINE(ライン)」(東京都)が、中国にある関連会社にシステム開発を委託するなどし、中国人技術者らが日本のサーバーにある利用者の個人情報にアクセスできる状態にしていたことがわかった。

LINEはプライバシーポリシー(個人情報に関する指針)でそうした状況を十分説明できておらず、対応に不備があったと判断。政府の個人情報保護委員会に報告する一方、近く調査のための第三者委員会を立ち上げ、運用の見直しに着手する。〉

▼3面に解説記事。

〈LINE 海外流出リスク露呈/個人情報 危うい管理〉

〈友人や知人とおしゃべりをする「トーク」機能をはじめ、音楽配信や決済、政府や自治体の手続きなど、社会のあらゆるサービスに浸透するLINEは「社会インフラ」そのものだ。国民の7割が使い、そこでは膨大なプライバシー情報がやり取りされている。

〈東日本大震災をきっかけに生まれたLINEは、今年で開始10年になる。利用者は日本だけでなく、台湾やタイ、インドネシアなど世界で1億6700万人を超える。今やアプリの中で様々なサービスを展開して利用者を囲い込む「プラットフォーマー」であり、国境を越えたサービスを提供するグローバル企業である。

▼日本一国ではGAFAには敵(かな)わないから、当然、他の国でも仕事をするのだが、デジタル記事の見出しには〈中国の4人に接続権限 LINE「日本に人材おらず」〉という気になる文言もあった。日本人の人材が不足しているわけだ。

▼故意であれ、偶然であれ、こうした出来事のすべてが、「ハイブリッド戦争」に利用される。その気配は、日本語圏にはまだ伝わってこない。英語圏ではひどいことになっている現状は、以前、『「いいね!」戦争』という名著紹介で触れた。

https://note.com/ourai/m/m6b771e039c0c

▼朝日の記事を読んで、最近出た廣瀬陽子氏の『ハイブリッド戦争 ロシアの新しい国家戦略』(講談社現代新書)に、最近の「戦争観」が簡単にまとめてあったことを思い出したので、次号以降で紹介する。

(2021年3月18日)

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