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日本人は大麻について多くを知らない件(その2)

▼松本俊彦氏の文章の続き。なぜ「私たちは大麻について多くを知らない」のかについて。前号と同じく、専門性の高い文章で、少し難しいのだが、大麻について考えるためには必須の文献だと考えるので、そのまま紹介しておく。適宜改行と太字。

〈思えば,米国は長きにわたって大麻を「スケジュールI」 という最高度の規制対象に位置づけ, 研究目的での使用さえも制限して 「パンドラの箱」が開かれることがないよう封印を守ってきた。

あるいは, 大麻を「Gateway Drug」 と位置づけ, 「よりハードな薬物に対する入門的薬物となる」という, 健康被害とは別軸の理屈を駆使して規制を正当化してきたのだ。〉

▼ゲートウェイドラッグ、という言い方は、日本でもよくなされている。

これらの対策には意味がない。というよりも、むしろ逆効果をもたらす。

〈しかし,今日ではそうした見解や政策の効果についても否定されている。むしろ様々な研究は,大麻のような比較的ソフトな薬物を規制することが,より危険な脱法的薬物の流通を促し, 反社会的組織に巨利をもたらしたことを明らかにした。

▼逆説だ。「ダメ、ゼッタイ」主義者にとっては、にわかに受け入れがたい現実だろうが、「ダメ、ゼッタイ」主義者が先導して大麻をガチガチに規制している現今の社会こそが、反社会的組織をウハウハ言わせている、というのだ。

〈今日,大麻の娯楽的使用解禁や,医療用大麻の承認といった国際的な潮流は,こうした研究知見の蓄積と無関係ではない。そしておそらくこの朝流は,ごく近い将来,日本にも押し寄せてくるだろう。私たちは大急ぎでその日に備え,大麻に関する知識をアップデートしておかねばならない。〉

▼今号はここまで。深く考えざるをえないことが、短い文章に詰め込まれている。

なにしろ、「ダメ、ゼッタイ」ではなく、「大麻の娯楽的使用解禁」や、「医療用大麻の承認」のほうが「国際的な潮流」であり、もうすぐ日本もそうなるだろう、と、日本で最も薬物依存の現状に詳しい人の一人が明言しているのである。

▼大学生が遊び半分で大麻を使ったことが、その学生が所属しているクラブの無期限停止処分になる現状は、医学的にも、社会的にも、「常識」の「異常性」を浮き彫りにしているのかもしれない。

(2020年10月20日)


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